研究課題
神経前駆細胞移植によって、脊髄損傷部を新しい神経組織で充たすことが可能になったが、正常組織と異なり、移植組織内の神経細胞の位置は全くの無秩序である。神経前駆細胞移植による機能再生効果を向上させるためには、秩序だった神経細胞の配置が重要であると予想されるが、未だ、移植神経細胞の位置を制御する方法は開発されていない。発生期では、神経前駆細胞がモルフォゲンの濃度勾配を位置情報として利用することで、脊髄組織の構成にパターンを形成する。そこで、本研究の目的は、脊髄損傷部に移植された神経前駆細胞はモルフォゲンの濃度勾配を位置情報として利用できるという仮説を検討することである。本年度は、マウスの5種類のモルフォゲン(BMP4、Wnt1、Sonic Hedge Hog、Netrin1、Draxin)のクローニングを完了し、第3世代のレンチウイルスによる、線維芽細胞への遺伝子導入システムを確立、各モルフォゲンとコントロールの、計6種類のレンチウイルスを作成し、本プロジェクトの根幹となる方法論を確立した。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は、脊髄損傷部に移植された神経前駆細胞はモルフォゲンの濃度勾配を位置情報として利用できるという仮説を検討することである。具体的には、レンチウイルスを使用して、5種類のモルフォゲン(BMP4、Wnt1、Sonic Hedge Hog、Netrin1、Draxin)を分泌する同系マウス由来の線維芽細胞を作成し、脊髄の背側と腹側に移植する。引き続いて、同系マウス頚髄を第4頚椎高位で切断モデルを作成し、GFP陽性マウス胚性脊髄由来の神経前駆細胞を移植後2週で灌流固定を行い、免疫染色によって移植神経細胞がパターン形成しているかを確認することである。本年度は、マウスの5種類のモルフォゲン(BMP4、Wnt1、Sonic Hedge Hog、Netrin1、Draxin)のクローニングを完了し、第3世代のレンチウイルスによる、線維芽細胞への遺伝子導入システムを確立し、本プロジェクトの根幹となる方法論を確立したので、概ね順調といえる。
本研究の目的は、脊髄損傷部に移植された神経前駆細胞はモルフォゲンの濃度勾配を位置情報として利用できるという仮説を検討することである。具体的には、レンチウイルスを使用して、5種類のモルフォゲンを分泌する同系マウス由来の線維芽細胞を作成し、脊髄の背側と腹側に移植し、引き続いて、同系マウス頚髄の部分切断モデルを作成し、GFP陽性マウス胚性脊髄由来の神経前駆細胞を、損傷部に移植後、2週で灌流固定を行い、免疫染色によって移植神経細胞がパターン形成しているかを確認し、組織のELISAで濃度勾配の実現を確認する。次年度は、FACSを使用して、各モルフォゲン(BMP4、Wnt1、Sonic Hedge Hog、Netrin1、Draxin)とGFPを分泌、発現する同系マウス由来の線維芽細胞を選別、増殖させ、移植に十分な細胞量を確保すること、線維芽細胞の各モルフォゲンの分泌量を確定すること、線維芽細胞の移植方法を確立すること、また、マウス脊髄損傷部にマウス神経前駆細胞を移植することで、脊髄損傷部に新規の神経組織が作成されることを確立すること、新規神経組織内の各種神経細胞の同定方法を、E12マウス胚性脊髄を使用して確立する。
すべて 2020
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Front Immunol
巻: 11 ページ: -
10.3389/fimmu.2020.01720