研究課題/領域番号 |
20H03560
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
新妻 邦泰 東北大学, 医工学研究科, 教授 (10643330)
|
研究分担者 |
冨永 悌二 東北大学, 大学病院, 教授 (00217548)
Rashad Sherif 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00824088)
坂田 洋之 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80722305)
伊藤 明 東北大学, 大学病院, 助教 (90867863)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 認知症 / Muse細胞 / 細胞治療 |
研究実績の概要 |
本邦では、高齢化と共に認知症患者が急増しており、患者および家族の生活の質の低下、あるいは医療費や介護費用などの問題から大きな社会問題となっている。しかしながら、認知症に対する根本治療は未だ存在しない。Muse細胞は生体に存在する自然の多能性幹細胞であり、腫瘍性形成リスクが低い。安全性と組織修復性を両立していると考えられる細胞で、幹細胞治療の有力なソースとして注目されている。我々は脳梗塞動物モデルにおいてMuse細胞が生着、分化し神経回路を再建することを示してきたが、認知症においても脳梗塞と同様にMuse細胞による修復・機能再建が得られる可能性があると考えられる。 本研究の目的は、認知症に対するMuse細胞治療を開発するため、非臨床POCを取得することである。Muse細胞治療により失われた認知機能を回復させることが出来れば、要介護者の減少、患者及び家族の生活の質の向上、医療費削減等、きわめて大きな社会的波及効果が生じると考えられる。 本年度も両側総頚動脈閉塞によるラット慢性虚血モデルを用いて認知機能障害を誘導し、それに対して細胞治療を行うことにより、以下の各種項目につき治療効果の有無や安全性の問題の有無につき検証した。Barnes mazeを用いた認知機能の評価、炎症細胞やアポトーシスの減少の有無、血管新生や細胞生着についての評価、細胞投与による副作用と考えられるような腫瘍形成の有無、異所性生着の有無。 細胞治療による認知機能改善効果が示唆され、血管新生や神経組織保護などがメカニズムの一部として考えられた。また安全性上の問題となるような所見も認めなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定されていた研究計画を順当に行い、一定の結果が得られている。メカニズムの詳細や、間葉系幹細胞の比較などを含め、最終年度に詳細な検証を行う。
|
今後の研究の推進方策 |
予定通りに計画が進捗しているため、当初の計画通り、間葉系幹細胞との比較や免疫抑制剤の有無なども含めた検証を予定する。
|