研究実績の概要 |
神経筋接合部(neuromuscular junction, NMJ)の正常分子構築機構を明らかにするとともに、先天性筋無力症候群(congenital myasthenic syndromes, CMS)の分子病態を解明し、新規治療法開発につなげることを研究目的とした。2021年度末までに34種類の原因遺伝子が同定されてきた。研究代表者は、Rspo2, Fgf18, Ctgfの3種類の新規NMJ構築誘導細胞外分泌分子を同定し、それぞれの受容体(Lgr5, Fgfr2, Lrp4)との結合の機能解析により正常NMJ分子構築機構を明らかにしてきた。2021年度はCHRND遺伝子変異によるスローチャンネル症候群の本邦症例に対してβ2アドレナリン受容体刺激剤サルブタモールが有効であることを論文報告した。加えて、NSC34神経細胞とC2C12筋管からin vitro NMJを構築し抗てんかん薬・抗パーキンソン病薬ゾニサミドがニューレギュリンの発現誘導を介してアセチルコリン受容体クラスタリングを誘導することを明らかにし論文報告した。ニューレギュリンはErbB受容体に結合しNMJ特異的な遺伝子の発現を可能にする。ゾニサミドはNSC34神経細胞単独培養、ならびにC2C12筋管単独培養に対してはニューレギュリンの発現を誘導しないことを見出した。
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