自閉症は発症頻度が1%以上と高いうえに有効な治療法が確立されていないため、大きな医学的・社会的問題を生じている神経発達障害である。そこで発症原因の解明と治療法の開発が急務となっていることから、社会的にも研究成果に期待が大きい研究領域である。本研究ではオリゴデンドロサイトの異常が自閉症の発症原因の1つである一方で、小脳顆粒細胞の異常が社会性行動などの自閉症の主症状には関与しないことを報告した。一部の自閉症患者は運動機能の障害を示すことが知られるが、社会性行動の異常と運動機能の障害は発症メカニズムが異なることが示唆された。この発見は自閉症の理解を深め、治療戦略の開発に寄与すると期待される。
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