アルツハイマー病(AD)など神経変性疾患の克服は、社会的要請の大きな世界的課題である。そのため、発症分子機構を明らかにし、創薬標的を早急に提示する必要がある。これまでの神経細胞中心に着目した研究の限界が世界規模で懸念されており、脳内環境として神経細胞以外のグリア細胞と神経細胞の相互作用の解析が着目されはじめているが、その複雑性から解析は遅れている。本研究計画では、ADモデルマウスを用いて、炎症起点となるグリア応答ネットワークの理解と制御を目的に研究を遂行した。その結果、AD初期病態の形成において炎症応答は関与せず、非炎症性のグリア応答が重要である可能性を見いだし、新たな作業仮説の提唱に至った。
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