研究課題
2022年度は、ApoM結合S1P(ApoM-S1P)が、S1P受容体1に対する偏向活性を持つ機序として、ApoM結合S1Pは、特に細胞における細胞膜のS1P濃度を上昇させるため、側面(細胞膜側)にリガンド結合部位を持つS1P受容体1に対して偏向活性があることを見出した。この現象は複数の細胞種で見られていた。ApoM-S1Pの生物学的作用の解明と疾患モデルマウスを用いたヒト疾患病態生理への関与についての検討については、ApoM欠損マウスの脳、肝臓、腎臓のRNAseqから同定されたApoM-S1Pの生物学的作用機序に関与するタンパク質のこれらの臓器における機能解析を行った結果、腎臓でのSIRT1発現調節、肝臓でのプロトロンビン分泌調節に関与するタンパクを同定することができた。その他、ApoM-S1PがS1P1を介して糖尿病性腎症を改善させることを論文として発表した。また、ApoM-S1PはS1P1、S1P4を介してNETosisを抑制し、その作用を通じてApoMリコンビナントがNETosisモデルマウス、リポポリサッカライド誘導敗血症モデルマウスに対して、致死率、臓器障害に対して保護的な作用を有することを証明した。さらには、ApoM-S1Pが細胞内において、PPARγを活性化し、脂肪肝、肝線維化に対して保護的な役割があることを見出し、その機序となる候補タンパク質をPPARγルシフェラーゼアッセイにて同定した。ヒトサンプルを用いた検討では、ApoMが低い糖尿病患者は、5年間の経過で、糖尿病性腎症の臨床病期が進行しやすいことを報告した。さらには、ApoMは、その類似したアポ蛋白質であるアポ蛋白D(ApoD)と挙動を一致させており、ApoDには抗炎症作用があることを考えるとHDLの抗炎症作用の一端をに立っているのかもしれない。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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