研究課題/領域番号 |
20H03575
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安田 宜成 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (60432259)
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研究分担者 |
平山 明由 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任准教授 (00572405)
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
加藤 規利 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90716052)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 糸球体濾過量(GFR) / 腎血漿流量(RPF) / GFR推算式 / RPF推算式 / メタボロミクス / シスタチンC / フレイル / 神経性やせ症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、腎血漿流量の推算式作成と様々な病態に応じた正確な腎機能評価法の確立である。糸球体高血圧の評価には糸球体濾過量(GFR)に加えて腎血漿流量(RPF)を測定する必要があるが、ほとんどの腎専門施設でも検査が出来ず、RPF推算式は全く存在しない。また正確な腎機能評価は慢性腎臓病(CKD)や急性腎障害(AKI)の診断や重症度評価に必須であるが、血清クレアチニン(Cr)に基づくGFR推算式は筋肉量が標準と大きく異なる場合は適用できず、筋肉量に影響を受けない血清シスタチンC(Cys)は標準化が不十分で、正確に腎機能を予測できない。 2021年度は既存のイヌリン+パラアミノ馬尿酸クリアランスデータベース・バイオバンクを活用してシスタチンCの標準化を進めた。国内の主だったシスタチンC測定キット間での測定値の差異を補正する方法を検討した。 メタボローム解析の共同研究機関と協議して、COVID-19などの感染リスクを抑制する検体処理法を確立した。2020年度に測定した結果よりRPF推算式作成候補となる代謝物質を同定しており、さらに検証研究を進める予定である。 筋肉量の少ないCKD患者の筋肉量を腹部CTの腸腰筋よりpsoas muscle index(PMI)を求め、PMIを活用した新たなGFR推算式を作成した。 脊髄損傷や神経性やせ症患者、高齢フレイル患者などでイヌリン+パラアミノ馬尿酸クリアランス検査を計画したが、学外の施設との共同研究はCOVID-19感染対策などでまだ実施できていない。学内の神経性やせ症患者について後方視的に腎機能を評価するコホート研究を開始した。 SGLT2阻害薬投与前後の腎血行動態を解析する臨床試験を継続しており、69例をエントリーして研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
神経性やせ症患者における腎血行動態検査について協議を進めているが、蓄尿検査や点滴を伴う検査が困難である。脊髄損傷患者についてはCOVID-19 感染予防対策で中部ろうさい病院などの学外との共同研究に制約がある。
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今後の研究の推進方策 |
既存のイヌリン+パラアミノ馬尿酸クリアランスデータベース・バイオバンクを活用してシスタチンCの標準化を完了する。Cys標準化のため日本臨床検査学会、日本臨床化学会と国内のCys検査キットや診断薬メーカーと協力する。 メタボローム解析により見出したGFRやRPFを予測する候補代謝物質の検証を行い、新しいGFR推算式、RPF推算式を作成する。見いだす。 脊髄損傷や神経性やせ症患者、高齢フレイル患者などでイヌリン+パラアミノ馬尿酸クリアランス検査を行う。実測GFRとeGFRcysの20%、30%正確度、相関、平均二乗誤差(RMSE)を求め、統計学的に解析する。フレイル患者を多数診療する老年科、神経性やせ症患者約300名を治療している名古屋大学精神科、5年以上の長期脊髄損傷患者約200名を治療している中部ろうさい病院リハビリテーション科と協力する。 SGLT2阻害薬投与前後においてイヌリン+パラアミノ馬尿酸クリアランス検査を行う臨床研究を継続する。本研究で得られた結果を用いて、既存検体で作成した新しいGFR推算式とRPF推算式の検証を行う。 本研究ではCys 標準化は研究代表者の安田がGrubb教授、日本臨床化学会、Cys検査メーカーと協力して実施する。Cin+CPAH検査は加藤と安田が実施する。メタボロームは慶應義塾大学メタボローム解析センターの協力・支援を受け、丸山、平山、安田が実施する。
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