研究課題/領域番号 |
20H03576
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
樂木 宏実 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20252679)
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研究分担者 |
山本 浩一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (00528424)
神出 計 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80393239)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ACE2 / トリプトファン / 必須アミノ酸 / 老化 / 骨格筋 / 小腸 |
研究実績の概要 |
我々は小腸に発現し必須アミノ酸のトリプトファン(Trp)の吸収に関与するAngiotensin converting enzyme 2(ACE2)に着目した研究を行ってきており、ACE2欠損マウスでは早期老化の形質を認めることを明らかにしてきた。本研究はTrp代謝が老化に及ぼす影響を、ACE2を介するアミノ酸吸収機構の観点で基礎的に研究することと、ヒトを用いた観察研究でTrp代謝産物と老化の関連を明らかにすることを目的としている。研究計画は1.腸管上皮特異的ACE2欠損マウスにおける老化関連形質を検証する研究、2.老化関連遺伝子p16欠損マウスを用いたACE2によるTrp吸収機構が老化に及ぼすメカニズムを検証する研究、3.疫学研究(SONIC)参加者を対象にTrp代謝機構と老化の関連を解明する研究で構成されている。1.に関しては腸管特異的Creマウスを入手しているが、ACE2-LOXpマウスの入手が完了していない。2.に関してはACE2欠損マウス、野生型マウス、ACE2欠損/p16欠損マウス、p16欠損マウスの4群の握力の経時変化を比較検討しているが、まだ比較検討が可能なデータ取得には至っていない。15か月齢において組織解析を行う予定であり、現在も検討継続中である。3.に関してはTrp代謝産物測定が必要となるが、Trpとその代謝産物であるキヌレニン、NAD+の同時測定を、HPLCを用いて行う方法を検討中である。当該年度は若齢(3ヵ月齢)、老齢(15ヵ月齢)の野生型マウスとACE2欠損マウスの骨格筋中Trp代謝産物濃度に関してHPLCと質量分析法で比較検討した。その結果、HPLCと質量分析法でのTrp代謝産物の組織中濃度に良好な相関を認め、HPLCの正確性が確認された。また、高齢ACE2欠損マウス骨格筋のTrp濃度が低下している等の新規知見も得られている。今後、血漿サンプルでの測定を行う準備を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画1に関してはCOVID-19の影響でACE2-LOXpマウスの米国からの入手が遅延しており、腸管上皮特異的ACE2欠損マウスの作成が進展していない。2、3に関しては現在までのところ遅延なく研究計画は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
計画1に関してはACE2-LOXpマウスの入手について、米国のAnimal resource centerの準備状況を随時確認する予定にしている。計画2に関してはマウスの検討を継続し、今後4群の握力の経時変化の違いについて比較検討する。また組織解析も進めていく。計画3に関しては既に血漿サンプルは凍結保存されている状況である。テストサンプルを用いてHPLCを用いた血漿中Trp代謝物濃度測定法を確立した後で、本サンプルを用いた測定を行い、臨床データと合わせて解析を行う予定である。
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