研究課題/領域番号 |
20H03594
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
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研究分担者 |
和田 英治 東京医科大学, 医学部, 講師 (60756948)
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
華藤 恵美 東京医科大学, 医学部, 助教 (20776025)
川幡 由希香 東京医科大学, 医学部, 助教 (80778473)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 核膜 / ラミンA/C / エメリン / 筋ジストロフィー / 心筋症 |
研究実績の概要 |
核膜タンパク質の異常による核膜病は、Emery-Dreifuss型筋ジストロフィー(EDMD)などの筋疾患、心筋症、脂肪萎縮症、早老症候群など多彩な遺伝性難治性疾患を引き起こす。核膜の脆弱性や遺伝子発現変化などが、病態に関与していることが示唆されているが、骨格筋障害については未だその具体的な発症機序は明らかでない。本研究は、我々が作製した最適なEDMDモデルマウス並びに培養細胞を用いた解析を中心に、遅筋と速筋、心筋の生理学的相違を「核膜」というこれまでにない視点から明らかにしようと研究を進めるものである。これまでに単一筋線維を用いた培養系において、筋線維タイプごとの核膜および疾患関連分子の発現に違いのあることを見出している。この結果をもとに、今後核膜関連筋疾患において、遅筋優位の筋障害の生じる機序を明らかにしていく予定である。また、筋幹細胞である筋衛星細胞の機能、核の形態変化と疾患重症度との関連、遅筋と速筋、心筋における核膜タンパク質の局在や機能の差異など、これまでに多くの知見を得ている。最近、骨格筋における核の移動と筋細胞膜修復との関連に関する論文が発表された。EDMDモデル細胞を用いて、筋細胞内の核の位置や移動と核の形態変化並びに核膜タンパク質の挙動を超解像度顕微鏡で観察することにより、病態を明らかにしていく予定である。 また、CRISPR-Cas9システムを用いたゼブラフィッシュモデルを作成し、現在、表現系を解析中である。今後、核膜病に対する治療薬候補のスクリーニングに向けて検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遅筋・速筋の筋線維タイプの違いにより核膜病関連分子の発現や挙動に変化のあることを見出している。また筋衛星細胞の機能や核の形態変化と病態との関連について、新たな知見を得ている。一方、骨格筋と心筋においても、核膜タンパク質の機能が異なっている可能性を示唆する結果を得ている。ゼブラフィッシュを用いたモデルフィッシュの作成も順調に推移しており、系統も確立しつつあることから、研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
筋線維タイプの違いにより核膜病関連分子の発現に変化が認められたことから、今後、遅筋優位に認められる核膜関連筋疾患の筋障害機序を明らかにしていく。また、骨格筋細胞内における核の動的局在変化を見出しており、超解像度顕微鏡を用いて核の移動と核の形態変化との関連を明らかにしていく予定である。最近、ようやく安定して伸展細胞装置によるメカニカルストレスの影響を解析するに耐えうるプライマリー細胞培養系を確立しつつある。今後は伸展の強度や頻度を検討し、さらなる成熟化培養へと挑戦し、筋障害機序を明らかにしていく。ゼブラフィッシュを用いて核膜病モデルを作成し、治療薬候補の探索を進めていく。最終年度に向けて、これまでの知見をもとに論文作成を行う。
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