研究課題
社会構造が個人の精神・脳機能に内在化する過程の理解に基づく精神疾患脳病態の解明のために、本年度は特に、トラウマ体験に着目した解析を行なった。既存のAdverse childhood experiences (ACEs)の調査票では、どのような出来事がどのように個人に体験され影響を及ぼすのかの観点からの整理が不十分である。たとえば、ACEsの源が対人なのか、それ以外なのか、対人関係のなかでも親(垂直関係)なのか、同世代の仲間(水平関係)なのか、それ以外の他者なのかについての分類はなされていない。そこで、ACEsを与えた外界の対象および原因、個体に内在化された経路や様式により分類するオリジナル尺度の作成を試みた。本尺度は、評価者間信頼性および再テストの一致率、ACE Scoreとの相関解析より、信頼性と妥当性が確認された。本尺度を用いて後方視的に診療録を調査した結果、対象者536名中246名(45.9%)に1つ以上のACEsが該当した。また、疾患群別のACEs該当者は、うつ病群155名(43.5%)、双極性障害群74名(50.3%)、統合失調症群17名(51.5%)であった。対象や経路別で見ると、どの疾患群においても[水平-心理(侵襲)]の割合が最も多く、146名(27.2%)が該当していた。これまでにもACEsについての調査は行われてきたが、ACEsを与えた外界の対象および原因、個体に内在化された経路やされ方について分類して調査したものはなかった。出来事の客観的重大性のみならず、どのようなACEsの源が本人にどのように体験され、影響を与えたかについて検討できる意義を持つ。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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