研究課題/領域番号 |
20H03598
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鈴木 道雄 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (40236013)
|
研究分担者 |
高橋 努 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (60345577)
樋口 悠子 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (60401840)
西山 志満子 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 講師 (70649582)
笹林 大樹 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80801414)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 精神病発症危険状態 / 初回エピソード精神病 / 統合失調症 / ミスマッチ陰性電位 / 磁気共鳴画像 / 転帰予測 |
研究実績の概要 |
精神病発症危険状態(at-risk mental state, ARMS)および初回エピソード統合失調症(First-episode schizophrenia, FES)の患者を対象とした。 第一の研究(Tateno et al., 2021)では、39人のARMS患者と22人の健常者において、持続長ミスマッチ陰性電位(dMMN)を横断的・縦断的に比較した。後に精神病に移行したARMS群では、ベースラインのdMMNの振幅が低下しており、縦断的にも有意な振幅減少がみられた。第二の研究(Nakajima et al., 2021)では、30人のFES患者と22人の健常者において、dMMNを横断的・縦断的に比較した。3年後に寛解に至らなかった患者群では、ベースラインのdMMNの振幅低下と潜時延長が認められ、ベースラインのdMMN振幅が寛解の有意な予測因子であった。第三の研究(Sasabayashi et al., 2021)では、107人のARMS患者と104人の健常者において磁気共鳴画像(MRI)を撮像し、FreeSurferにより大脳皮質厚を測定した。ARMS患者を1年後のGlobal Assessment of Functioning (GAF)得点により転帰良好群と転帰不良群に分けた。転帰良好群では、転帰不良群に比較して、右の傍中心小葉の皮質厚が有意に小さかった。これらの結果から、前注意的な情報処理に関連するdMMNの変化や大脳皮質の微細な構造変化が、ARMSやFESのような精神病性障害の早期段階における臨床転帰の予測に役立つことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精神疾患早期の臨床転帰を予測することが示唆される有望な客観的指標が複数見出されている。
|
今後の研究の推進方策 |
これまで見出された臨床転帰予測に有望と考えられる指標を組み合わせることにより、予測精度を向上させていく。
|