研究課題/領域番号 |
20H03598
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鈴木 道雄 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (40236013)
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研究分担者 |
高橋 努 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (60345577)
樋口 悠子 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (60401840)
西山 志満子 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 講師 (70649582)
笹林 大樹 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80801414)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 精神病発症危険状態 / 初回エピソード精神病 / 統合失調症 / 磁気共鳴画像 / 自我障害関連特性尺度 / 背外側前頭前野 / 局所脳回指数 / 転帰予測 |
研究実績の概要 |
精神病発症危険状態(at-risk mental state, ARMS)および初回エピソード統合失調症(First-episode schizophrenia, FES)の患者を対象とした。 第一の研究(Nishiyama et al., 2022)では、統合失調症患者のミネソタ多面人格目録(MMPI)のデータから自我障害関連特性尺度を作成し、その信頼性・妥当性を示した。次にこの尺度を83人のARMS患者、43人のFES患者、84人の健常者に適用し、ARMS患者およびFES患者では尺度得点が健常者より有意に高いこと、また後に統合失調症に移行したARMS群の尺度得点は、移行しなかったARMS群に比較して有意に高いことを示した。第二の研究(Takayanagi et al., 2022)では、73人のARMS患者と74人の健常者において、磁気共鳴画像(MRI)のlabeled cortical distance mapping法による解析により、背外側前頭前野(DLPFC)の皮質厚、皮質体積、および皮質表面積を測定した。後に精神病に移行したARMS群では、右のDLPFC体積が、移行しなかったARMS群に比較して有意に小さく、右のDLPFC体積が小さいほど精神病以降までの期間が短かった。第三の研究(Sasabayashi et al., 2022)では、寛解した52人のFES患者を対象に、MRIにより局所脳回指数を解析し、その後3年以内の再発との関連を検討した。再発群では、非再発群に比較して、両側の頭頂皮質および左側の後頭皮質の局所脳回指数が有意に高値であった。これらの結果から、自我障害に関連した心理・行動特徴やDLPFCの体積減少がARMSにおける精神病発症予測に役立つこと、また大脳脳回形成の変化がFESにおける再発への脆弱性に関連することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精神疾患早期の臨床転帰を予測することが示唆される有望な客観的指標が新たに複数見出されている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで見出された臨床転帰予測に有望と考えられる指標を組み合わせることにより、予測精度を向上させていく。そのために、マルチモーダル確率モデルおよび機械学習による判別による予備的検討を開始している。
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