研究課題/領域番号 |
20H03600
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
尾内 康臣 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40436978)
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研究分担者 |
横倉 正倫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00529399)
武内 智康 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 特任助教 (20754188)
亀野 陽亮 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40537255)
和久田 智靖 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80444355)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 |
研究実績の概要 |
早期アルツハイマー病(AD)の脳内で主に傷害性ミクログリア(M1性)の活性化が生じていること、その程度がタウ(tau)の脳内蓄積と関連していることを報告してきた。また、脳障害早期に主に保護性ミクログリア(M2性)が働くことを脳血管障害モデル動物で明らかにした。ADはアミロイド(Aβ)やtauなどの異常蛋白の生成が生じているため、早期からM1ミクログリア活性が有意であることも示唆されている。そこで、ミクログリア極性のM1極性からM2極性変化を捉え、細胞死に関与するミトコンドリア活性変化を同時に可視化する生体画像化を実現し、ミクログリアと神経・シナプス細胞死を捉える多角的な画像評価系を創出することを目的として行った。 本年度では、アルツハイマー病スペクトラムにおけるミトコンドリア活性のM1-M2極性変化(disease associated microglia, DAMと呼称)に関連して変動する神経細胞死に関する生体画像化を目指すため、アルツハイマー病モデルマウスを用いた動物研究を実施した。M1評価に対して、FKNのMRIシグナルを発生する改良分子プローブおよびM2評価に関してCB2プローブを用いた画像化を試みた。M1評価でのMRIシグナルが得られなかったため、M1期活性を反映するTSPOプローブで検証した。また、認知症モデルマウスを用いて、M1/M2極性変化時の神経細胞生存とシナプス消失のin vivo画像化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
M1系のFKNのMRIプローブを用いた解析ではC57BL/6マウスの脳内のシグナルは検出されなかった。脳内への移行および信号が軽微過ぎると考えられた。しかし、[11C]DPA713による集積ではM1誘導していると考えられている状態で集積が観察された。BV2やMG5細胞からM2系に誘導したセルラインを作成し、[18F]FDGや[18F]BCPP-EFを用いた代謝プローブで観測するとM2系でのエネルギー代謝バランスがより酸化的代謝に傾いていることが分かった。 In vivo系における実験では、C57BL/6マウスとSAMP10 老化促進マウスで検討し、[11C]NE40でM2神経炎症の評価を行い、M1系として[11C]DPA713の評価を行った。 それぞれのトレーサーを尾静脈より投与後90分のダイナミック撮像を行い、simplified reference tissue model(SRTM)を用いて小脳を参照とする結合能(BPND)画像を作成した。[18F]BCPP-EFを用いて神経細胞生存尺度であるミトコンドリア活性の測定を試みた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き前年度の研究をR3年度も継続し、データ取得と初期解析を本年度に完成させる。M1M2機能活性の変化と神経細胞活性の関係を調べるために、電子伝達系のミトコンドリア複合体I(MC-I)活性を標的とする画像化([18F]BCPP-EFを用いる)を行うと共に、ATP合成に関わるミトコンドリア複合体V(MC-V)の画像化でトレーサー候補をさらに模索する。M1M2機能活性の変化と神経細胞のシナプス生存を調べるために、Synaptic vesicle glycoprotein 2A(SV2A)に結合する特異的トレーサーを用いた画像化を行う。SAMP10マウスやAPP/PS1遺伝子改変ADモデルマウスを用いて検討する。
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