研究課題/領域番号 |
20H03601
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
桑原 斉 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (50456117)
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研究分担者 |
山末 英典 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80436493)
尾内 康臣 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (40436978)
間賀田 泰寛 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (20209399)
和久田 智靖 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (80444355)
横倉 正倫 浜松医科大学, 医学部, 助教 (00529399)
亀野 陽亮 浜松医科大学, 医学部, 助教 (40537255)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / PET / 5HT1B受容体 |
研究実績の概要 |
本研究では、自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: ASD)当事者にて異常が報告されているGABA系やグルタミン酸系の変化をMRS検査で、機能的結合性をresting-state functional MRI検査で測定することに加えて、これらとの関連が報告されているセロトニン神経系において特にASDモデルマウスで症状改善との関連が報告されているセロトニン1B受容体をPositron Emission Tomography(PET)検査で測定し、更に血液検体採取を行うことでASDの病態を複数の検査機器や検査手法を用いて多角的に検討することを目的としている。 今年度は、PET検査で脳内のセロトニン1B受容体を測定する技術がヒトに応用されたことが最近であるため、安定して測定できる方法を確立できた。加えて最近ヒトに応用され始めた、シナプス密度をPET検査で測定する方法を導入して安定して測定できる方法についても確立することが出来た。その上で被験者募集を開始し、ASD当事者1名と定型発達者8名の検査を無事に終えて、PET検査とMRI検査(MRS検査とresting-state functional MRI検査)、血液検体のデータを取得できた。更に研究参加希望のあるASD当事者や研究参加基準を満たしているASD当事者が複数名確認できているので、それらの方々に対して研究参加を促していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PET検査で脳内のセロトニン1B受容体を直接測定する技術が最初にヒトに応用された報告は2011年であり(J Cereb Blood Flow Metab. 2011)、2014年に測定間の安定性(test-retest reliability)が報告された(Eur J Nucl Med Mol Imaging. 2014)。その後はパーキンソン病患者(Neurobiol Aging. 2014)や覚せい剤依存症者(Biol Psychiatry. 2014)、うつ病患者(Psychiatry Res. 2014)での報告や攻撃性との関連が報告されているが(Biol Psychiatry. 2017, Neuroimage. 2018)、いずれも海外での研究であり、今回我々は国内で安定してセロトニン1B受容体をPET測定できる方法を確立できた。 加えて、脳内のシナプス密度をPET検査で測定する方法が最近報告され(Sci Transl Med. 2016)、2018年に測定間の安定性も報告され(J Cereb Blood Flow Metab. 2018)、アルツハイマー病患者(JAMA Neurol. 2018)やうつ病患者(Nat Commun. 2019)、統合失調症患者(Nat Commun. 2020)で報告されている。この測定方法についても安定して測定できる方法を我々は確立できたため測定することとした。 その上で被験者募集を開始し、今年度はASD当事者1名と定型発達者8名に対して、PET検査(セロトニン1B受容体とシナプス密度の測定)とMRI検査(GABAやグルタミン酸、機能的結合の測定)、血液検体のデータ取得を終えた。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で研究参加希望のあるASD当事者が4名おり、更に研究参加基準を満たしているASD当事者が少なくとも6名程確認されているので、これらの候補者に対して研究参加を促していく。 本研究では被験者募集が研究遂行の速度と強く関連するため、予定通り2023年度末までに研究を終えるためには目標被験数の募集を2022年度末までに終えることが望ましいと考えている。上述の様に現時点でASD当事者の参加候補者が10名程確認できているが、2022年度末までにASD当事者の参加目標数を達成するためには2021年中に更に15名程度のASD当事者の参加候補者を確認する必要があると考える。そのため被験者募集について、関連した医療施設を含めて現在よりも広く周知して研究遂行を進めるように考えている。 加えて今後は新型コロナウィルス(COVID-19)への感染対策にも十分に注意しながら研究を進めていく。
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