研究実績の概要 |
本研究で蓄積したデータを解析し、最終的な学術実績として、3本の論文を国際雑誌にて発表した。本研究では健常高齢者を対象に一時交差点での実車運転技能から安全運転群と不安全運転群の2群に分けて、神経心理検査やMRIデータがどのくらいの精度でこの2群を判別するか機械学習を用いて検討した。その結果、3本の論文ともに80%以上の高い精度で群間を判別することに成功した。さらにその判別モデルに大きく寄与していた部位として左の背外側前頭前野、特に前頭眼野に位置する領域と左の下頭頂小葉に位置する領域が選ばれていた。灰白質体積、白質繊維、安静時の機能的結合、どのMRIパラメータを用いて解析をしても、一貫して背側注意ネットワークの機能および構造の異常が高齢者の不安全運転に関与していることが示された。
本研究は実車評価をしている点、脳画像による高い精度での不安全運転群の予測モデルを作成した点、さらに、背側注意ネットワークにおける脳構造および機能異常が主に不安全運転に関与している点を明らかにし、学術的に意義の高いものであると考える。さらに、これまでの結果を総説としてイギリスの医学雑誌にて発表することができた。このことにより、研究者だけではなく広く一般に研究成果を広めることに尽力した。
【総説】 1. Yamagata B, Yamamoto Y, Shino M. Establishing a predictive model for unsafe driving in the elderly using artificial intelligence and elucidating the neural basis. Impact. 2. 65-67. 2023
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