研究課題/領域番号 |
20H03613
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高瀬 圭 東北大学, 医学系研究科, 教授 (60361094)
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研究分担者 |
森本 玲 東北大学, 大学病院, 准教授 (30547394)
石幡 浩志 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40261523)
尾股 慧 東北大学, 大学病院, 助教 (40818374)
小黒 草太 東北大学, 大学病院, 講師 (50383716)
清治 和将 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50400247)
小野 美澄 東北大学, 大学病院, 助教 (70734218)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | IVR / ラジオ波焼灼 / 原発性アルドステロン症 / 高血圧 / 内分泌 |
研究実績の概要 |
国内で推定400万人が罹患する原発性アルドステロン症の中で、根治可能であるものの、片側副腎摘出を要する症例に対し、IVR(インターベンショナルラジオロジー)による原因腫瘍の焼灼により、外科手術を回避しながらも根治が可能である。この飛躍的な低侵襲療法の普及のため、腫瘍のサイズに適合した焼灼性能を有するカテーテルを開発することを目的として研究を行なっている。 今年度は、開発アイテムに有用な候補素材の物性に沿い,その能力を活かしたカテーテル基本設計を行なった。本開発で採用する樹脂材料へのラッピングにて、副腎静脈への誘導に適した剛性と柔軟性、および屈曲能を有する素材を選定した。また電極バルーン材料については、バルーン素材には非弾性材料でシャフトに格納可能な折りたたみに適した極薄素材を選定し、これに導電性電極を接着した初期デバイスを作成した。オーバー・ザ・ワイヤー法での本デバイス挿入のために,ガイドワイヤールーメン,電極バルーンの膨張と電極部の冷却を行う冷却水還流用のルーメンの同軸配置を基本設計とする、第一段階のデバイスセットを作成した。ゲルファントムおよび摘出副腎での初期焼灼実験と、バルーンおよびデバイス柔軟性評価を行なった。 我々はこれまで、副腎静脈への選択的カテーテル挿入技術を応用して、CTガイド下ラジオ波焼灼術の医師主導治験、軟性ラジオ波焼灼カテーテルの基礎開発を行い、アルドステロン産生マクロ腺腫、機能性左副腎微小腺腫に対する治療法開発を進めてきたが、焼灼範囲や焼灼デバイス柔軟性の限界から、IVR治療不可能な症例が依然多く存在している。本バルーン拡張型焼灼カテーテルが実用化されれば、既存開発品との使い分けにより、サブタイプの異なる原発性アルドステロン症に対してもIVR治療の可能性が開ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は、経静脈的副腎焼灼の中核技術となる開発アイテムとしてのバルーン候補素材の物性を検討し、その能力を活かしたカテーテル基本設計を行なった。本開発で採用する樹脂材料によるラッピングにて、副腎静脈への誘導に適した剛性と柔軟性、および屈曲能を有する素材を選定した。また電極バルーン材料については、バルーン素材としては非弾性材料でシャフトに格納可能な折りたたみに適した極薄素材を選定し、そこに伸縮性のある導電性電極を接着した初期デバイスを作成した。オーバー・ザ・ワイヤー法での本デバイス挿入のために,ガイドワイヤールーメン,電極バルーンの膨張と電極部の冷却を行う冷却水還流用のルーメンの同軸配置を基本設計とする、第一段階のデバイスセットを作成した。ゲルファントムおよび摘出副腎での初期焼灼実験と、バルーンおよびデバイス柔軟性評価を行なった。 バルーン素材の導電化は世界的にも前例がなく、本研究において最も困難となる課題であったが、初期デバイスが作成された事により有意義な成果が得られたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
生体内での到達性や操作安全性および焼灼時の生体反応については、来年度以降の研究課題である。また、バルーンコーティングの安全性と柔軟性向上に向けての電極コーティング法の改良についても今後の研究課題で有る。 来年度以降は、ブタ生体での初期デバイスを用いた焼灼実験により、生体内での開発デバイスの挙動と焼灼安全性および焼灼効果についての検討を行なう。 また、操作安全性については、デバイス柔軟性評価からは問題ないと思われるが、実際の生体およびヒト副腎静脈モデルを用いてさらに検討を行なう。
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