研究課題/領域番号 |
20H03618
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
大重 真彦 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (00451716)
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研究分担者 |
松尾 一郎 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (40342852)
吉原 利忠 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (10375561)
堀内 宏明 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (00334136)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線増感剤 / 含硫糖脂質 / SQAP / レブリチン / 低酸素環境 / 酸素分圧 |
研究実績の概要 |
悪性腫瘍に対する治療法として放射線療法が重視されるなかで、患者の生活の質(QOL)を維持するために照射線量低減を目的とした放射線増感剤開発が行われている。これまでに、ハロゲン化ピリミジンや低酸素細胞増感剤等が開発された(Radiobiology for the Radiologist (Fourth Edition)、Eric J. Hall他、J.B. Lippincott Company)。しかし、毒性や副作用等の問題を克服できず実用化には至っていない。一方、DNAポリメラーゼ阻害剤として同定された含硫糖脂質SQMG(sulfoquinovosylmonoacylglycerol)およびその構造改変化合物であるSQAP(Sulfoquinovosylacylpropandiol;薬剤名レブリチン)は、放射線増感剤として自然発症のがん患畜に対して有効性が示されている化合物である。これら化合物が作用する受容体を同定することを可能とする各種SQAP誘導体の合成経路の確立を行った。 SQAP誘導体について、SQAPは投与後すぐに分解が始まってしまうため、体内や培養細胞用培地中で分解されにくい安定なSQAP誘導体の合成が必要であった。そのために、分解されにくい安定なSQAP誘導体の合成から開始した。その結果、1)SQAPを分解する酵素を明らかにし、その酵素により分解され難いSQAP誘導体の合成に成功した。そして、この分解され難いSQAP誘導体を基に、2)SQAP誘導体が作用する分子を探索するための分子プローブの合成経路の確立に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
体内や培養細胞用培地中で分解されにくい安定なSQAP誘導体が研究計画を進めていく上で必要であったため、研究を実施した。その結果、SQAPを分解する酵素を明らかにし、その酵素により分解され難いSQAP誘導体の合成に成功した。この化合物については特許申請及び論文投稿をおこなった。そして、このSQAP誘導体を基に、SQAP誘導体が作用する分子を探索するための分子プローブの合成経路の確立に着手したが、反応効率および回収率の悪い工程があり、そのプロセスの改善に時間を要しているため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き実験および治療に使える可能性があるSQAP誘導体を合成しつつ、細胞および動物実験が行えるように準備を整えていく。
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