研究課題/領域番号 |
20H03620
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
松本 英樹 福井大学, 学術研究院医学系部門, シニアフェロー (40142377)
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研究分担者 |
前田 宗利 公益財団法人若狭湾エネルギー研究センター, 研究開発部, 主任研究員 (20537055)
平山 亮一 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 重粒子線治療研究部, 主任研究員(定常) (90435701)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨髄幹細胞 / 粒子線 / 細胞競合 / 組織修復 |
研究実績の概要 |
(1) C57BLマウス(7週齢、雄)に、X線、炭素線、陽子線を0.01 ~ 10.0 Gy単回全身照射した。照射後1日目にマウスから大腿骨を摘出し、骨髄細胞分画を調製し、MethoCult培地で培養し、形成されたコロニー数を計数することにより骨髄幹細胞の生存率を解析した。その結果、X線、炭素線あるいは陽子線に対する骨髄幹細胞の生存率曲線は、何れも骨髄幹細胞は低線量超高感受性を示すことが明らかとなった。 (2) C57BLマウス(7週齢、雄)に、炭素線を2回分割照射(0.1 ~ 5 Gy/回、計0.2 ~ 10 Gy、1回/日、2日間連続照射)し、1日後にマウス大腿骨から骨髄細胞分画を調製し、MethoCult培地で培養し、骨髄幹細胞の生存率を解析した。その結果、骨髄幹細胞の生存率は、2回の合計線量を単回照射した際の生存率とほぼ等しく、2 回の照射間隔の24時間の間にほとんどDNA損傷応答機構が誘導されていないことが示唆された。 (3) C57BLマウス(7週齢、雄)に、X線5 Gyを単回全身照射した。照射1、3、6、12時間後、1日後、7日後、14日後にマウス大腿骨から骨髄細胞分画を調製し、MethoCult培地で培養し、骨髄幹細胞の生存率を解析した。その結果、照射1時間後の骨髄幹細胞の生存率は約5%で、その後わずかに生存率は上昇したが、照射1日後の生存率は約10%で、24時間の間に約5%しか回復せず、照射7日後の生存率も約10%であった。照射14日後の生存率はほぼ100%まで回復した。従って、照射直後から照射7日後までに極わずかにDNA損傷応答機構が作用するのみであり、生存率の回復は照射7日後から14日後に損傷骨髄幹細胞の排除/新生骨髄幹細胞の置換によって骨髄組織の再生が行われていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究実施計画の通りにX線、炭素線、あるいは陽子線照射実験を順調に実施することができ、研究実績を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.X線・炭素線・陽子線照射実験において、骨髄幹細胞のDNA損傷修復動態を経時的に解析する。 2.X線・炭素線・陽子線照射実験において、骨髄幹細胞のアポトーシス誘導動態を解析する。 3.X線・炭素線・陽子線照射実験において、骨髄幹細胞の細胞周期動態を解析する。 4.X線・炭素線・陽子線照射実験において、骨髄幹細胞の回復動態へのNOの関与を解析する。
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