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2020 年度 実績報告書

ヌーナン症候群類縁疾患の新しい発症メカニズムの同定とその病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20H03636
研究機関東北大学

研究代表者

青木 洋子  東北大学, 医学系研究科, 教授 (80332500)

研究分担者 新堀 哲也  東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40436134)
阿部 太紀  東北大学, 医学系研究科, 助教 (40810594)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードヌーナン症候群 / 低身長
研究実績の概要

ヌーナン症候群は低身長・心疾患・精神遅滞・易発がん性を示す先天性疾患である。これまでにRAS/MAPKシグナル伝達経路の複数の分子の遺伝子変異が同定され、RASopathiesという疾患概念を形成している。
最近、ヌーナン症候群で初めて常染色体劣性遺伝を示すLZTR1遺伝子が同定され、申請者らはLZTR1がRASのユビキチン化と分解を担う分子であることを報告した。本研究ではこれまでに収集した患者の中で本遺伝子変異陽性の患者をさらに同定し、その臨床症状を解析した。常染色体優性遺伝を示す場合と劣性遺伝を示す場合があるが、家系情報からそのバリアントが病因と結論できない患者において更なる変化をみつけるために解析(全エクソーム解析、全ゲノム解析)を開始した。現在解析中であるが、LZTR1のイントロンの変化、あるいはコピー数変化などの有無について解析を進める予定である。さらに、バリアントについては細胞内における機能解析を行ったほか、LZTR1ミスセンスバリアントを選定し、ゲノム編集にてモデル生物作製を開始した。ゲノム編集時のマウスの背景はDBA2/B6であったため作成後、C57BL/6にバッククロスを行った。まだpreliminary なデータであるが、変異をもつヘテロマウスは外見上の変化はないが、臓器の重量を検討したところ、正常型に比べて心臓と脾臓の重量が重いことが明らかになった。LZTR1のミスセンス変異が原因かどうかはまだ明らかになっておらず、今後本マウスの解析を行うことにより、そのバリアントの病原性や病態への影響が明らかになると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

患者におけるバリアントも順調に同定し、さらなるメカニズム解明のために全エクソーム解析や全ゲノム解析も開始した。まだその機能が明らかになっていないLZTR1変異についてゲノム編集を用いたモデル生物の作製に成功し、今後の解析が可能になった。

今後の研究の推進方策

LZTR1バリアントは劣性遺伝ではloss-of-fucntion変異であることが予測されるが、常染色体優性遺伝の原因となるミスセンス変異の病的な意義はまだ明らかではない。さらに常染色体劣性遺伝が疑われるが、一つのアレルの変異しか同定されていない患者もいる。イントロンやそれ以外の部位のゲノムの変化が疾患形成に関与している可能性があるため、解析を継続していく。マウスの解析は継続していく。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A Patient with Noonan Syndrome with a KRAS Mutation Who Presented Severe Nerve Root Hypertrophy2021

    • 著者名/発表者名
      Ando Yoshihito、Sawada Mikio、Kawakami Tadataka、Morita Mitsuya、Aoki Yoko
    • 雑誌名

      Case Reports in Neurology

      巻: 13 ページ: 108~118

    • DOI

      10.1159/000512265

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A somatic activating KRAS variant identified in an affected lesion of a patient with Gorham-Stout disease2020

    • 著者名/発表者名
      Nozawa Akifumi、Ozeki Michio、Niihori Tetsuya、Suzui Natsuko、Miyazaki Tatsuhiko、Aoki Yoko
    • 雑誌名

      Journal of Human Genetics

      巻: 65 ページ: 995~1001

    • DOI

      10.1038/s10038-020-0794-y

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Double‐chambered right ventricle complicated by hypertrophic obstructive cardiomyopathy diagnosed as Noonan syndrome2020

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Masahiro、Takashio Seiji、Nakashima Naoya、Hanatani Shinsuke、Arima Yuichiro、Sakamoto Kenji、Yamamoto Eiichiro、Kaikita Koichi、Aoki Yoko、Tsujita Kenichi
    • 雑誌名

      ESC Heart Failure

      巻: 7 ページ: 721~726

    • DOI

      10.1002/ehf2.12650

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Somatic RASopathies: リンパ管腫症・Gorham病におけるがん原遺伝子RASの関与2021

    • 著者名/発表者名
      青木洋子、野澤明史、新堀哲也、小関道夫
    • 学会等名
      第43回日本小児遺伝学会学術集会
  • [学会発表] RRAS2の活性化変異はヌーナン症候群を引き起こす2020

    • 著者名/発表者名
      新堀哲也、永井康貴、藤田京志、大橋博文、岡本伸彦、岡田賢、原田敦子、木原裕貴、Arbogast Thomas, 舟山亮、城田松之、中山啓子、阿部太紀、井上晋一、Tsai I-Chum、松本直通、Davis Erica, Katsanis Nicholas、青木洋子
    • 学会等名
      第27回遺伝子診療学会大会
  • [学会発表] LZTR1に複合ヘテロ接合体変異を認めたNoonan症候群の一例2020

    • 著者名/発表者名
      富永牧子、井上真理、藤井隆成、富田英、梅木郁美、青木洋子、池田裕一
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第65回大会
  • [備考] 東北大学大学院医学系研究科遺伝医療学分野

    • URL

      http://www.medgen.med.tohoku.ac.jp/

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公開日: 2024-12-25  

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