研究課題
本研究の目的は、先天性無巨核球性血小板減少症を伴うあるいは伴わない橈尺骨癒合症患者の遺伝子解析を行い、骨髄不全あるいは橈尺骨癒合症のモデル生物を作成し、その解析および培養細胞を用いた解析から病態の解明を行い、治療法開発につなげていくことである。RUSATおよびRUS患者のサンプルおよび臨床症状を収集し、HOXA11, MECOM, SMAD6, NOG, および最近発見されたZMAT2の遺伝子解析を行った。臨床症状については血球減少およびRUSのみではなく、その他の症状(難聴、心疾患、他の骨格異常等)にも注目して収集を行った。変異が同定されないサンプルについては、全エクソーム解析を行い、TGFβ/BMPシグナルに関連の遺伝子に注目して新規原因遺伝子同定を目指し、結果を解析中である。解析した家系のうち、2例の家族例ではMECOMのスプライシング異常が疑われ、RNAでの解析で確認された。その一方、同じ遺伝子変異をもつ家族内の患者であっても骨髄不全や橈尺骨異常などの骨格の異常の発現は個人により多彩であり、その他の何らかの遺伝的要因や環境的要因の関与が疑われた。症状および遺伝子変異の多様性を報告する論文を準備中である。さらに全ゲノム解析など網羅的解析により、modifier遺伝子の存在を目指す。RUSAT患者で同定されたMECOM変異と相同のMecom変異を導入したモデルマウス(C57BL/6)を作成し、ホモマウスについてはMEFを作成し、RNAseq解析を行った。現在は情報解析中である。
2: おおむね順調に進展している
遺伝子解析を行う患者さんは継続的に収集され、解析が進んでいる。モデルマウスの解析も血液・骨格に焦点を当てて解析が進められている。モデルゼブラフィッシュの解析のための予備解析も継続している。
モデルマウス解析および患者収集及び遺伝子解析は継続する。遺伝子解析の結果で同定された遺伝子変異について培養細胞を用いた機能解析、あるいはゼブラフィッシュを用いて表現型解析を進める。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Journal of Human Genetics
巻: - ページ: -
10.1038/s10038-021-00916-y
Cell Death & Disease
巻: 11 ページ: 617
10.1038/s41419-020-02845-8