今後の研究の推進方策 |
予定通り研究が進捗しているので、引き続き当初の計画に沿って研究を進める。 先天性筋無力症候群について:樹立したiPS細胞の性状評価を行い、MYOD1遺伝子を導入し、NMJへの分化を開始する。NMJの分化効率は免疫染色(Synaptic vesicle 2+αBTX)を用いて行う(すでに手法は確立)。効率が安定していることを確認の上、後述のNMJの機能評価を実施する。 脊髄性筋萎縮症について: SMN欠損細胞では骨格筋特異的に細胞死が誘導されることを見出した(Ikenaka, unpublished)が、SMA患者さんの組織切片で骨格筋のミトコンドリア関連分子の発現低下が認められることから(Ripolone, JAMA Neurol 2015)、細胞死のメカニズムを細胞内エネルギー代謝やミトコンドリア機能に着目して解析する。NMJモデルでは、NMJの機能評価を行う。
NMJの機能評価について:以下の項目を実施予定である。I.NMJ依存性の筋収縮能:ソニー(株)と共同開発した筋収縮能の測定機器(研究室内に設置)を用いて、疾患iPS細胞と対照との間の筋収縮能(筋収縮の加速度・筋収縮の頻度)を観測する。成熟NMJの筋収縮能評価には光遺伝学的手法を用いる。神経細胞にシナプシンプロモーター下に光作動性チャネルを発現するベクターを導入し、光刺激により神経細胞を興奮させ、筋収縮を評価する。II.電子顕微鏡による微細構造観察:シナプス前・後の詳細な構造を電子顕微鏡で観察し、疾患群での差異を見出す。III.細胞内カルシウム濃度の変動:カルシウム指示薬を筋細胞に導入し、筋収縮能の評価と同様の刺激を用いて細胞内カルシウムない濃度の変動を観察する。これは筋収縮能との同時観察が可能であり、骨格筋の興奮と収縮のカップリングが適切に行われているかを評価することが出来る。
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