研究課題
基盤研究(B)
ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を用いた病態モデリングにより、先天性筋無力症候群(CMS)のインビトロ病態モデル構築に成功した。また、脊髄性筋萎縮症(SMA)の骨格筋病変のモデルを構築し、SMAの原因遺伝子SMNが欠損した細胞では筋分化過程でミトコンドリアの機能異常が生じ、エネルギー代謝異常と活性酸素の過剰産生により筋分化が損なわれることを見出した。また、SMNが筋分化過程で核内に移行し、ゲノムに結合してmiRNAを含む複数の筋分化関連因子の転写制御に関与することを明らかにした。
幹細胞生物学
本研究により、CMSの病態モデル構築に成功した。また、SMAの骨格筋病変の発症機構の1つが明らかになった。SMNの新しい機能として、SMNがゲノム上で特定の転写因子と相互作用し、その標的遺伝子の発現調節に関与している可能性を示した。これらの成果は、ヒト体細胞における細胞種特異的な遺伝子転写制御の一端を明らかにし、骨格筋を標的としたSMAの新規治療法の可能性を提示するものである。