研究課題/領域番号 |
20H03648
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
小坂 仁 自治医科大学, 医学部, 教授 (90426320)
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研究分担者 |
山口 雄輝 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (50345360)
秋山 泰 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (30243091)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アポモルフィン / ミトコンドリア病 |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアは生体内ATP産生の中心であり、ミトコンドリア呼吸鎖複合体は、好気的代謝により、生体内が必要とするATPの大半を産生する。ミトコンドリア病とは、主として呼吸鎖複合体の遺伝性疾患であり、約1万人あたり1人と、頻度の高い遺伝性疾患である。現在、補酵素Q10の類縁体であるイデベノンが、レーバー遺伝性視神経炎に対する治療薬として(欧州での限定認可)、およびタウリンがMELASにおいて、脳梗塞の再発予防として認可されているのみであり、治療薬が切望されている。我々は、中枢神経薬のライブラリーから、この2剤より遥かに強力にROSによる細胞死を救済し、なおかつこの2剤にはない、ATP産生を上げる作用を有する薬剤, apomorphine, (Apo) を見出した。この研究においてapoの細胞死抑制経路を明らかにし、新規ミトコンドリア病治療薬を創出する。まずは2019年度に、Apoとドパミン受容体との結合モデリングより、ドパミンアゴニスト作用のない類似化合物をin silico screeningで見出した。またApoに機能性ナノ磁性微粒子である半田ビーズを固定化し、複数の結合蛋白をLC-MSにより同定した。2020年目には、国内で可能なApo誘導体の合成を終え、Apoとの構造類似化合物と誘導体について、BSOにより細胞死アッセイを行い、細胞死阻止効果のEC50を測定し、EC50;200nM以上の活性をもつ候補薬を絞り込んだ。また複数のApo結合蛋白について、実際にウエスタンブロッティングを行い、結合を確認するとともに、結合蛋白の機能に与える作用を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数の結合蛋白を取得し、結合による作用について検討を加えることが可能であった。
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今後の研究の推進方策 |
Apoに対する結合蛋白の中でApoの抗細胞死活性とミトコンドリア機能上昇にかかわると思われる候補蛋白を見出した。本年は、Apo/結合蛋白の、ドメインレベルでの相互作用部位を明らかにするとともに、候補蛋白/Apoの結合様式をモデリングする。またこの結合により、どのようなシグナルカスケードにより、抗細胞死作用およびATP合成増強作用、抗炎症作用を発揮しているのか明らかにする。今までに、見出した類似化合物や誘導体についても、上記結合と抗細胞死作用を検証することにより、薬剤として最も適切なリード化合物を見出すとともに、上記の結合と下流の作用を可視化するアッセイ系を作成し、今後の薬物スクリーニングへと発展させる。
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