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2021 年度 実績報告書

多面的アプローチによる難治性てんかんの分子病態に基づく革新的創薬基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 20H03651
研究機関福岡大学

研究代表者

廣瀬 伸一  福岡大学, 医学部, 教授 (60248515)

研究分担者 石井 敦士  国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 教授 (90568825)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードてんかん / iPS細胞 / 遺伝子改変動物 / ハイスループットスクリーニング / 創薬
研究実績の概要

1: ヒトの主に素因性てんかんでの、遺伝子変異の解析を継続的に実施した。動物のてんかんとしてリスターフーディッドラットの責任遺伝子と目される遺伝子の補正を行ったラットの作出を行った。現在繁殖が終了して、責任遺伝子の確定を行う基盤が確立し、現在ラットの表現型を調査中である。2: 遺伝子解析で得られた情報を基に、ドラべ症候群のモデル動物となる遺伝子改変動物の数系統の作出が完了した。その動物の細胞を利用して、単一ニューロンを用いたシナプスの機能異常がその抑制性の不良であることを明らかにした。3:ドラべ症候群患者からのiPS細胞樹立と脱落乳歯由来幹細胞(SHED)の樹立を行った。樹立幹細胞は抑制性または興奮性の神経細胞に分化させて、その電気生理学的異常を明らかにしている。4:上記の情報を基に、病態のネットワークに介入できる薬剤・化合物を多角的方法を用いた分子会合シミュレーションで探索している。すでに、二種の薬剤候補化合物を得て特許申請を行った。5: 上記で選択された薬剤・化合物を中心に、幹細胞由来より分化誘導された神経細胞を用いて、実際に分子病態が改善される物を選び、抗てんかん薬のシーズとすべく、血液、脳関門透過性などの解析に入っている。6:遺伝子改変動物を用いてのシーズの有効性判定 シーズと目されるシーズを作出した遺伝子改変動物に投与して、動物のてんかん症状が改善するか観察して症状の改善や死亡率の低下を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1:動物のてんかんとしてリスターフーディッドラットの責任遺伝子と目される遺伝子の補正を行ったラットの作出に成功した。これにより、責任遺伝子の確定を行う基盤が確立し、現在ラットの表現型を調査中であること。2: 遺伝子解析で得られた情報を基に、ドラべ症候群のモデル動物となる遺伝子改変動物の数系統の作出が完了したこと。その動物の細胞を利用して、単一ニューロンを用いたシナプスの機能異常がその抑制性の不良であることを明らかにしたこと。3:ドラべ症候群患者からのiPS細胞樹立と脱落乳歯由来幹細胞(SHED)の樹立を行った。樹立幹細胞は抑制性または興奮性の神経細胞に分化させて、その電気生理学的異常を明らかにしていること。4: 上記の情報を基に、病態のネットワークに介入できる薬剤・化合物をMOE (Molecular Operating Environment) を用いた分子会合シミュレーションで探索し、二種の薬剤候補化合物を得て特許申請したこと。5: 上記で選択された薬剤・化合物を中心に、幹細胞由来より分化誘導された神経細胞を用いて、実際に分子病態が改善される物を選び、抗てんかん薬のシーズとすべく、血液、脳関門透過性などの解析に入っていること。
以上から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

1:ヒトと動物のてんかんを引き起こす遺伝子同定とその分子ネットワークの解明 ヒトのみならず、自然発症てんかん動物の遺伝子解析を加速・継続して、分子ネットワークの理解を深める。このためヒトてんかんに関連する遺伝子の同定、自然発症動物てんかんに関連する遺伝子の同定 及びヒト・動物てんかんに関連する分子間のネットワーク分析を行う。2:分子ネットワーク情報による遺伝子改変動物作出 遺伝子解析で得られた情報を基に、1)遺伝子編集技術によるマウス・ラット作出と2)キックイン法による遺伝子改変マウス作出を行う。3:引き続きてんかんのiPS細胞等の幹細胞と、その遺伝子改変幹細胞の樹立 患者または動物からの1)iPS細胞樹立と2)脱落乳歯由来幹細胞(SHED)の樹立を行い、樹立幹細胞は神経細胞に分化させて、その電気生理学的異常を明らかにする。4:分子ネットワークに介入する薬剤・化合物の分子会合シミュレーションでの選択 多角的な分子会合シミュレーションで探索しする。5:幹細胞由来の神経細胞を用いた、薬剤・化合物のシーズ選択 上記で選択された薬剤・化合物を中心に、幹細胞由来より分化誘導された神経細胞を用いて、実際に分子病態が改善される物を選び、抗てんかん薬のシーズとする。6:遺伝子改変動物を用いてのシーズの有効性判定シーズと目されるシーズを作出した遺伝子改変動物に投与して、動物のてんかん症状が改善するか観察して創薬に結びつける。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件)

  • [雑誌論文] Current medico-psycho-social conditions of patients with West syndrome in Japan.2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshitomi S, Hamano SI, Hayashi M, Sakuma H, Hirose S
    • 雑誌名

      Epileptic Disord

      巻: 23(4) ページ: 579-89

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Inhibitory synaptic transmission is impaired at higher extracellular Ca(2+) concentrations in Scn1a(+/-) mouse model of Dravet syndrome.2021

    • 著者名/発表者名
      Uchino K, Kawano H, Tanaka Y, et.al.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 11(1) ページ: 10634

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Astrocyte Ca2+ Signaling is Facilitated in an Scn1a+/- Mouse Model of Dravet Syndrome.2021

    • 著者名/発表者名
      Uchino K, Ikezawa W, Tanaka Y, et.al.
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: 05(18) ページ: 444602

    • 査読あり
  • [雑誌論文] PCDH19 missense and truncating variants in PCDH19-related epilepsy.2021

    • 著者名/発表者名
      Shibata M, Ishii A, Goto A, Hirose S.
    • 雑誌名

      J Hum Genet.

      巻: 66(6) ページ: 569-78

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Impaired neuronal activity and differential gene expression in STXBP1 encephalopathy patient iPSC-derived GABAergic neurons.2021

    • 著者名/発表者名
      Ichise E, Chiyonobu T, Ishikawa M, et.al
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet.

      巻: 30(14) ページ: 1337-48

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Genetics and gene therapy in Dravet syndrome2021

    • 著者名/発表者名
      Higurashi Norimichi、Broccoli Vania、Hirose Shinichi
    • 雑誌名

      Epilepsy & Behavior

      巻: --- ページ: 108043-108043

    • DOI

      10.1016/j.yebeh.2021.108043

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Sub-genic intolerance, ClinVar, and the epilepsies: A whole-exome sequencing study of 29,165 individuals.2021

    • 著者名/発表者名
      Epi25 Collaborative (Shinichi Hirose, Atsushi Ishii)
    • 雑誌名

      Am J Hum Genet.

      巻: 108(10) ページ: 965-982

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Application of induced pluripotent stem cells in epilepsy2021

    • 著者名/発表者名
      Hirose Shinichi
    • 学会等名
      5th Azalea Festival symposium in Pediatric Neurology
    • 招待講演
  • [学会発表] Drug discovery based on the etiologies of epilepsy using induced pluripotent stem cells2021

    • 著者名/発表者名
      Hirose Shinichi
    • 学会等名
      5th Azalea Festival symposium in Pediatric Neurology
    • 招待講演
  • [学会発表] 福岡大学医学部小児科でのてんかんの分子病態研究の歩み2021

    • 著者名/発表者名
      廣瀨 伸一
    • 学会等名
      第512回日本小児科学会福岡地方会
    • 招待講演
  • [学会発表] 臨床科でもここまでできた!~福岡大学小児科でのてんかん分子病態研究~2021

    • 著者名/発表者名
      廣瀨伸一
    • 学会等名
      第88回さが小児科地方会 第212回日本小児科学会長崎地方会合同地方会(ハイブリット開催)(2021.7.4.佐賀 web
    • 招待講演
  • [学会発表] 福岡大学でのてんかんの分子病態研究-遺伝子から創薬への道2021

    • 著者名/発表者名
      廣瀨伸一
    • 学会等名
      第44回 日本小児遺伝学会学術集会、第3回 日本ダウン症学会学術集会、第3回 日本ダウン症学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 分子病態に基づくてんかんの根治を目指して2021

    • 著者名/発表者名
      廣瀨伸一
    • 学会等名
      愛知県医療療育総合センター 発達障害研究所 公開セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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