研究課題
我が国の早産率は6%で(年間5万人程)、早産原因の3割~半数は細菌による胎内感染である。早産児の合併症は、呼吸器(新生児慢性肺疾患)、神経系(脳質周囲白質軟化症)、消化器(壊死性腸炎)など不可逆的、且つ永続的で生涯に渡り時に早産児の死亡原因となる。妊娠期に母体は免疫的に胎児抗原を許容するため、液性免疫を活性化させ、細胞性免疫を抑える。その結果、細胞内侵入性の微生物に対しては抵抗力が下がる。マウスES細胞に誘導をかけ卵母細胞に分化していく過程の生殖始原細胞様細胞を作製し、流早産原因菌ウレアプラズマ感染による影響を観察した。ウレアプラズマはマイコプラズマ科に属する細菌で、最小細菌の一つで一般的な病院の検査では検出が困難である。ウレアプラズマに感染した生殖始原細胞様細胞は、我々の予想に反してすぐに死滅することはなく、ある程度の割合で生存・増殖した。さて昨年度我々はウレアプラズマの新たな病原因子を同定報告した。ウレアプラズマ空胞化因子(UpVF)と名付けたこの新規病原因子は、ウレアプラズマが感染した際に宿主側が感染に対して反応するERストレスを回避し、宿主細胞をアポトーシスから守る作用がある。ウレアプラズマはこの病原因子を利用して「感染細胞を殺さずに、感染を持続している」と考えている。ウレアプラズマのステルス感染と呼べるかもしれない。このウレアプラズマのステルス機構が生殖始原細胞様細胞への感染の際にも起こっているのではないかと考えられる。そこで、今後は、このメカニズムをより詳細に解析する為、生殖始原細胞様細胞を大量に培養し、宿主細胞側の反応性について検討し、生殖系列に対するウレアプラズマの影響を調べ、最小細菌が我々ヒトの次世代の細胞系譜をいかに障害しているのかといった点を明らかにしたい。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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