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2021 年度 実績報告書

原腸由来臓器の上皮細胞可塑性と互換性の検証

研究課題

研究課題/領域番号 20H03657
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

油井 史郎  東京医科歯科大学, 統合研究機構, 准教授 (00383886)

研究分担者 武部 貴則  東京医科歯科大学, 統合研究機構, 教授 (20612625)
柿沼 晴  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30372444)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード上皮細胞胎児化 / TMDU細胞 / 人工肝細胞
研究実績の概要

本年度は、課題の2年度として十分な進捗が認められた。課題初年度には、ヒト腸細胞が、我々の開発した特殊な培養法で、再現性を持って多数のサンプルで培養可能であること、さらにこれらの細胞が胎児腸上皮細胞に近似することが明らかとなり、本課題の重要なテーマである「細胞レベルので若返り」に関するエビデンスを構築することができた。その胎児性を明瞭にするため、本課題では腸が発生する内胚葉原基に由来する他の代表的臓器である肝臓を形成する肝細胞系譜への誘導、ならびにその逆ベクトルの肝細胞からの腸上皮細胞誘導の可能性を検証する予定であるが、特殊な培養条件で遺伝子操作を経る事なくHepatocyte系譜のフェノタイプを獲得できる可能性を明らかにする事ができた。2021年度においては、複数のサンプルにおいて追試・確認を行うなどの実績を上げることができた。腸上皮細胞と肝細胞という一見全く異なる細胞の互換性の検証は、従来のiPS細胞を主に研究対象とする医学・再生医療研究において、大いに発展性を有している。細胞機能解析や運命変換のメカニズムに特化・深化させた新しい研究テーマの創出など、今後ますますの発展が期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

課題2年目にあたる2021年度には、初年度に確認した、ヒト成体腸を胎児化する方法の検証と、胎児性の担保としての類縁系統組織への誘導検証を目的とするパイロットスタディーを複数のサンプルで追試・確認し、フェノタイプが肝細胞に類似した形質を有する細胞の誘導が可能であることを示す成果を得ることができた。さらに体内でのフェノタイプ解析に重要な移植システムも効率的に改変し、本課題に応用可能なシステム構築を終了できた。よって本研究は当初の計画以上に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は肝細胞様細胞の性状を移植アッセイなどにより解析する予定である。また腸→肝と逆ベクトルの検証、すなわち肝細胞を胎児化し、腸型細胞系譜へ誘導する試みも既に開始しており、特殊な培養系を樹立している。臨界点を明らかにするとともに、腸・肝臓という同じ原腸に由来する臓器の発生学上において共通する胎児幹細胞の同定を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Transplantation of intestinal organoids into a mouse model of colitis2022

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Satoshi、Kobayashi Sakurako、Ogasawara Nobuhiko、Okamoto Ryuichi、Nakamura Tetsuya、Watanabe Mamoru、Jensen Kim B.、Yui Shiro
    • 雑誌名

      Nature Protocols

      巻: 17 ページ: 649~671

    • DOI

      10.1038/s41596-021-00658-3

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Cellular "Hub" Function to Resolve Colitis2021

    • 著者名/発表者名
      Go Ito, Shiro Yui, Ryuichi Okamoto
    • 雑誌名

      CMGH

      巻: 12 ページ: 789,790

    • DOI

      10.1016/j.jcmgh.2021.04.008

    • 査読あり
  • [学会発表] 12.ヒト腸管上皮細胞における発生・炎症・発癌オーバーラップに関する基礎研究2021

    • 著者名/発表者名
      油井 史郎、岡本隆一、渡辺守
    • 学会等名
      第107回日本消化器病学会
  • [学会発表] 13.Conceptual basis of lineage shift between intestinal epithelium and hepatocytes.2021

    • 著者名/発表者名
      Sakurako Kobayashi, Satoshi Watanabe, Nobuhiko Ogasawara, Yosuke Yoneyama, Kousuke Tanimoto, Ryu Nishimura, Sayaka Nagata, Masami Inoue, Kouhei Suzuki, Kiichiro Tsuchiya, Ryuichi Okamoto, Mamoru Watanabe, Takanori Takebe, Shiro Yui
    • 学会等名
      第18回幹細胞シンポジウム
    • 国際学会
  • [学会発表] 14.炎症・再生に関与する胎児化機構の同定とヒト腸への応用2021

    • 著者名/発表者名
      油井史郎、小林桜子、渡辺諭、小笠原暢彦、井上正美、大島茂、柿沼晴、土屋輝一郎、岡本隆一、渡辺守
    • 学会等名
      第42回日本炎症再生医学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 15.The art of intestinal organoids in basic research and its potential for clinical applications2021

    • 著者名/発表者名
      Shiro Yui, Ryuichi Okamoto, Mamoru Watanabe
    • 学会等名
      ISSCR/JSRM International Symposium
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 腸上皮の老化に関わるストレス応答の2方向性2021

    • 著者名/発表者名
      小笠原暢彦、油井史郎、渡辺守
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      医学書院

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公開日: 2022-12-28  

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