研究課題/領域番号 |
20H03667
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
鈴木 秀和 東海大学, 医学部, 教授 (70255454)
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研究分担者 |
佐藤 智典 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00162454)
津川 仁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (30468483)
土居 信英 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (50327673)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 癌幹細胞 / CD44 / CAPZA1 / H. pylori / ムコソイド |
研究実績の概要 |
胃オルガノイド由来幹細胞駆動型上皮細胞モデルMucosoidを用いた解析では、酪酸刺激にて、胃上皮細胞のCAPZA1発現は顕著に亢進し、H. pylori感染により、CAPZA1過剰発現細胞依存的にCagAが蓄積していくことが、Westernblotting並びに共焦点レーザー顕微鏡解析による免疫染色法により明らかになった。また、mRNAディスプレイ技術を用いて、CAPZA1を分子標的した蛋白質相互作用阻害ペプチドの開発とスクリーニングを行い、CD44v9陽性細胞の発生制御技術の開発を行っている。CAPZA1にビーズ固定用のSBPタグを融合したCAPZA1-SBP蛋白質を大腸菌で大量発現・精製し、AGS細胞抽出液に含まれるLRP1-ICDとの結合を確認することができた。mRNAディスプレイ技術によるCAPZA1結合ペプチドのセレクション探索と並行して、まず野生型LRP1-ICDに膜透過促進ペプチドS19-TATとeGFPを融合したタンパク質を大腸菌で調製した。調製されたeGFP-LRP1(ICD)-S19-TAT融合蛋白質をAGS細胞に添加すると、膜透過促進ペプチドS19の機能によりLRP1-ICDの細胞内移行が促進した。また、CD44v9を特異的に標的するために、CD44v9陽性細胞に特異的な多糖ナノ粒子による遺伝子のデリバリーシステムの開発を行った。異なる組成の多糖ナノ粒子での検討を行うことで、ルシフェラーゼ遺伝子(pLuc)/キトサン/ヒアルロン酸の三元複合体では、CD44v9陽性細胞に特異的な遺伝子の細胞内導入、微小管依存的な核への輸送、および顕著な遺伝子発現活性が得られた。この成果を基盤に、自殺遺伝子(pTK)含有多糖ナノ粒子を用いてCD44v9陽性細胞に対する抗腫瘍効果を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、CAPZA1過剰発現細胞、およびCD44v9陽性癌幹細胞を標的とした次世代分子標的バイオ医薬を開発し、「癌幹細胞/前駆細胞選択的二段階駆逐型新規癌治療戦略」の確立を目的としている。令和2年度の研究成果により、胃内共生細菌由来代謝物依存的なCAPZA1過剰発現を介したCD44v9陽性細胞の発生機構が胃オルガノイドを用いたモデルで明確化され、その細胞の標的技術として、mRNAディスプレイ法とキトサン/ヒアルロン酸(HA)で構成したナノ粒子への自殺遺伝子のパッケージング法の開発が順調に進んでいる。今後、これらの標的技術の精度の向上と、標的化の実践の確認のために、胃オルガノイドモデルを用いた機能評価が必要となるが、ここまでの研究開発により標的技術の開発はおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度の成果により、mRNAディスプレイ法を用いたCAPZA1過剰発現細胞の標的技術開発では、CAPZA1にビーズ固定用のSBPタグを融合したCAPZA1-SBP蛋白質を大腸菌で大量発現・精製し、AGS細胞抽出液に含まれるLRP1-ICDとの結合を確認することができたので、今後、CAPZA1-SBPをベイトとしたmRNAディスプレイ法を用いて、CAPZA1に結合するペプチドまたは小型抗体のセレクションを行う。また、調製されたeGFP-LRP1(ICD)-S19-TAT融合蛋白質をAGS細胞に添加すると、膜透過促進ペプチドS19の機能によりLRP1-ICDの細胞内移行が促進したが、過剰なLRP1-ICDの細胞内移行により細胞死が誘導され、LRP1-ICDの細胞内移行量の調節技術が必要になることが示唆されたため、CAPZA1過剰発現細胞特異的にLRP1-ICDを送達させることを目的に、CAPZA1過剰発現特異的な細胞表層受容体の探索・同定をAGS培養細胞とMucosoidモデルを用いて実施する予定である。さらに、ルシフェラーゼ遺伝子(pLuc)/キトサン/ヒアルロン酸の三元複合体糖ナノ粒子では、CD44v9陽性細胞に特異的な遺伝子の細胞内導入、微小管依存的な核への輸送、および顕著な遺伝子発現活性が得られたため、今後、この糖ナノ粒子内へ自殺遺伝子(pTK)をパッケージングし、CD44v9陽性細胞特異的な抗腫瘍効果をMucosoidモデルにて検討する。
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