研究課題
腫瘍におけるミスマッチ修復(MMR)の状態を評価することは、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の適用を決定するため重要である。一方で、全てのMSI-H癌が免疫チェックポイント阻害剤に感受性を示すわけではなく、効果が認められない場合がある。その耐性機構を明らかにするため、腫瘍内にミスマッチ修復酵素の発現量の差が生じていないか解析を進めている。腫瘍全体のMMRタンパク質の発現量を解析するため、13種類の癌種(319検体)について横断的にミスマッチ修復タンパク質(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)の発現を解析した。胃がん89検体中2検体(2.2%)、子宮体癌17検体中1検体(5.9%)において、MMRタンパク質の発現が認められる箇所と欠失している箇所が混在するモザイクパターン(pMMRとdMMRの混在型 [以後p/d MMRとする])になっていることを確認した。p/d MMR胃がんのdMMR部位では、いずれもMLH1とPMS2タンパク質の発現量が欠失していた。p/d MMRの胃がんで、モザイク箇所をマイクロダイセクションにて採取し、組織片を別々にMSI-PCR法、MSI-NGS法で解析したところ、免疫染色の結果とMSIの状態が一致していた。この結果を受け、さらに検証するため追加コホートとして1082検体においてp/d MMRパターンを示すか評価した。その結果、胃がん314検体では確認されなかったが、子宮体癌138例中3例(2.2%)において、p/d MMRを示す癌を同定した。以上より、頻度は低いものの、腫瘍内でミスマッチ修復酵素の発現量の差がある不均一な状態にあることを明らかにした。こうした混在パターンは、ICI治療の耐性機序の一つになりうる可能性がある。
2: おおむね順調に進展している
様々な癌種においてMMR発現量を横断的に評価した結果、胃癌と子宮体癌においてMMR発現量の差が混在するパターンがあることを明らかにした。
今後は、腫瘍内のリンパ球に着目した解析をすすめるため、T細胞分布やレパトア解析についても検討を進める。また、免疫チェックポイント阻害剤治療を施行した患者癌組織を用いた解析を進め、治療耐性機序の解明を進める。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (26件) (うち査読あり 26件、 オープンアクセス 13件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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