研究課題
マイクロサテライト不安定性を示す癌(MSI-H癌)は、ミスマッチ修復遺伝子の機能欠失により、遺伝子異常が急増する。これまでMSI-H癌に対しては、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が著効することが明らかになっており、本邦の進行固形癌の治療として承認されている。一方で、全てのMSI-H癌が免疫チェックポイント阻害剤に感受性を示すわけではなく、効果が認められない場合がある。その耐性機構を明らかにするため、胃がんを対象に解析を進めている。胃がんの腫瘍内における遺伝的な不均一性に着目して研究を進めた。胃がんのゲノム異常、MSI状態に腫瘍内不均一性が生じているか検討するため、連続切片から複数個所をマイクロダイセクションし、空間的に異なる部位の解析を実施した。また、免疫組織学的染色にて、ミスマッチ修復タンパク質(MLH1、MSH2、MSH6、PMS2)の発現を解析し、MSI状態との関係性を調べた。その結果、腫瘍内でミスマッチ修復酵素の発現量の差を認めていること、その部位におけるMSI状態も異なっていることを明らかにした。さらに、定量的なMSIスコアを算出するため、次世代シークエンス解析(MSI-NGS)により、76か所のマイクロサテライト領域の解析を実施した。MSI-NGS解析により、腫瘍部位によってMSIスコアの高低が観察され、MSI状態に違いがあることを実証した。また、ゲノム異常に関しては、腫瘍部位によってクロナリティに違いが生じていることも明らかになった。腫瘍内の細菌叢を解析するため、可変領域に対するプライマーを設計し、核酸が分解した検体を解析できるアッセイ系を構築した。以上より、腫瘍内のゲノム異常の不均一性によりICI薬剤応答性に違いが生じる可能性が示された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (40件) (うち国際学会 4件) 備考 (2件)
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