研究課題/領域番号 |
20H03672
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306)
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研究分担者 |
小島 敏弥 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30625588)
眞鍋 一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70359628)
荷見 映理子 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70599547)
中山 幸輝 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70721885)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心不全 |
研究実績の概要 |
心臓恒常性維持のメカニズムにおいて、心臓へのストレスが臓器Aに蓄積しているのではないかという仮説ものもと、研究を行っている。 本研究では、特に心臓へのストレスが、自律神経系と免疫細胞系のネットワークによって、臓器Aに蓄積する実験系を用いて解析を行った。その結果、臓器A内の細胞Bにエピジェネティックに築盛が生じることを見出した。さらにそのエピジェネティック変化を網羅的に解析を行ったところ、シグナル伝達システムCのシグナルが途絶えることによって、エピジェネティック変化が生じていることを見出した。実際臓器A内では、シグナル伝達システムCの細胞外の伝達システムを構成する分泌タンパクDが減少していることを見出した。さらに、その細胞外タンパクの減少メカニズムを検討した。その結果、たんぱく質Dの減少は、臓器A内の間質細胞の減少およびその細胞間ネットワークの欠失が原因であることを見出した。 現在、この臓器A内での心臓ストレス時の変化について、詳細に解析を行っている。具体的には、臓器Aを構成しているすべての細胞を1細胞解析で解析を行い、心臓ストレス時にどのようなサブポピュレーション変化が生じているか、あるいは、サブポピュレーションの構成は変化なくとも、遺伝子発現が生じてる場合は、その標的分子の同定を試みている。現在タンパクDを発現する細胞のサブポピュレーションについて、たんぱく質Dの上流を構成するメカニズムについて検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、ここまでの結果を論文投稿を行い、リバイズを行っている。さらに、今回発見してタンパクDについては、特許申請を行っており、知財確保の面からも順調に進んでいる。また、新型コロナウィルスによるロックダウンを経験し、本研究計画で重要である動物モデルの実験については、一時不可能となったが、その後研究のペースを回復し、当初の予定通りの進展にまとめることができた。 また、共同研究者に千葉大学の研究が入っており、同大学もパンデミックによる影響を受けた。同大学は本研究計画において、次世代シーケンサーを用いたシーケンスおよびその解析を担当してもらっている。同大学のロックダウン時には、ほぼすべての実験が停止した。一方でその期間はそれほど長くなく、むしろ、本学のロックダウンによる動物実験の停止が実験計画の遂行に影響を与えた。 しかし、本基盤研究の2020年秋頃から両大学の協力によって、順調に進行し、現在論文を投稿後、リバイズを行っている。リバイズのための実験については、緊急事態宣言等の発出もあったが、大学の動物実験施設を昨年の春のロックダウンと異なり、稼働できるような対策が取られており、現在パンデミックが再燃している環境下においても、順調に行うことができている。 今後さらに、パンデミックの持続が予想されるが、本学では研究員全員にワクチン接種が終了しており、現在感染対策を十分に行って上で、在宅では不可能な研究業務については、大学内で行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、本研究の論文化において、追加実験を行っている。リバイズにおいては、査読によって要求される1細胞レベルでの解析を行っている。近年、論文投稿を行うと、1細胞レベルの実験が高確率で要求される。このレベルの研究は、基盤研究Bの金額ではかなり厳しく、必ずしも行いたいすべての実験を行うことができない。 1細胞レベルの研究を日常的に行える研究室は、限られた研究である一方で、世界的にはより安価に行うことができ、このレベルでの解析が標準的な研究室で行えるという認識がある。 来年度は、予算の内、大部分を1細胞シーケンスに投じることによって、本研究の論文化を目指す。今後も展望として、本研究で得た知財を現在申請中であるが、この知財を発展させ、治療方法の開発に展開するための基礎的データの蓄積と半年以内に、申請中の知財申請への追加を行うことを行う予定である。 また、今年度、新型コロナウィルスによって、再度ロックダウンなどが起こった際に対しての対策として、現在使用しているマウスをいつでも閉鎖し、しかるべき時期に再開ができるように、凍結胚の作製を平行して進める。特に、早期の再開を考慮する上で、ノックアウトマウスであれば、ホモ接合体xホモ接合体での凍結胚作製が望まれる。本年度は、この作業を行う。また、研究員の感染症に対する対策も十分に行う。すでにワクチン接種を完了しているが、そうだとして、クラスター等の発生は完全に否定できない。そのため、研究室内での感染対策を引き続き行っていく。
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