研究課題
本研究の目的は、循環器疾患と腸内細菌叢との関連調査研究の中で注目することになった腸内グラム陰性桿菌由来の『リポ多糖(lipopolysaccharide; LPS)』と『外膜小胞(Outer membrane vesicles; OMVs)』が持つ生体作用を解明し、疾患発症との関連を探究する事である。腸内細菌から①LPS と②外膜小胞 を独自に単離し、その機能や体内動態を明らかとする。加えて③腸管内のLPSや外膜小胞が遠隔臓器である心・血管に与える影響をマウスを用いて検証する。これまでに、腸内細菌由来のLPSとOMVsに関して、普通の条件下でマウスに経口や経腸投与しても、ほとんど腸管から血液中への移行しないことが判明した。特にOMVに関して、細菌OMVs由来の20数塩基のmiRNA、smallRNAのRNAシーケンスを実施して、すでに公開されたヒト血中のmiRNAのシーケンスデータ中に、我々が遺伝子解析した菌由来miRNAの存在を検証したが、検出できなかった。以上の解析からも、腸管内細菌の産生するOMVが、宿主の血液中に移行して生体作用を示すとう仮説は否定的であった。LPSに関しては、腸管内の糞便の活性に比較して、血液中の活性は10万分の1程度であるが、LPSの血中濃度は高脂肪食摂取で上昇することが確認できており、油成分吸収の際のカイロミクロンを介した吸収が想定された。今年度は、LPS腹腔内投与がどのように動脈硬化の増悪につながるのかを、動物実験で解明した。マウスにLPSを腹腔内投与すると、数日遅れて動脈硬化巣に好中球のネットーシス(NETs)が観察され、マクロファージからのケモカインの産生の増加も関連して、炎症を増悪し、動脈硬化が増悪する機序が解明できた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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