研究課題
基礎研究アーム:我々が開発したRYR2に対するCaMの親和性を特異的に高めたRyR2 V3599K KIマウスを用いて、TAC手術を行ったところ、心肥大を起こさず、生存曲線は著しく改善し、心機能も保たれていた。この機序について単離培養細胞にて検討したところ、WT心筋細胞で、肥大刺激で認められたRyR2から解離したCaMの核内移行とHDACの核外移行、そしてNFATの核内移行が、V3599K KI心筋細胞では認められないことが分かった。これはCommun Biol. 2020 Nov 26;3(1):714に報告した。MIマウスモデル:8週令のマウスのLADを結紮しMIマウスモデルを作成した。WTマウスに対し、ダントロレン慢性投与群(MI-WT+DAN)、RyR2 V3599K群(MI-V3599K)ともに、MI作成後にみられるカテコラミン負荷誘発性の心室頻拍は生じず、左室リモデリング、心筋細胞肥大も抑制され、予後は著明に改善した。また、ダントロレン慢性投与群(MI-WT+DAN)、RyR2 V3599K群(MI-V3599K)ともに、RyR2結合カルモジュリンの量が保たれていることが分かった。PAHラットモデル:ダントロレンの経口投与により、RyR2からのCaM解離抑制し、予後改善、右心機能改善を認めること、不整脈抑制効果を持つこと。さらには、ダントロレンの経口投与群においてRyR2結合カルモジュリンの量が保たれていること確認した。臨床研究アーム:HFREF患者に対するダントロレンの多施設2重盲検RCTを行っている。コロナウイルス蔓延のため、症例の登録が予定よりも遅れ気味ではある。
2: おおむね順調に進展している
V3599K KIマウスを用いたTACモデルの論文がCommun Biol. 2020 Nov 26;3(1):714にacceptされた。そのほか、同マウスにおける抗アルツハイマー病効果を確認した論文が、Scientific Rep 2021 Mar 31;11(1):7289にacceptされた。多施設RCTは症例の登録は遅れている。
V3599KマウスのMIモデル研究の完成。PAHモデルに対するダントロレンの効果の研究を論文化する。さらに、V3599K KIマウスと同様の変化を持つKI ラットを作成し、繁殖させる。多施設RCTを終了させる。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件)
Scientific Rep
巻: 11 ページ: 7289
10.1038/s41598-021-86822-x
Biochem Biophys Rep.
巻: 23 ページ: 100787
10.1016/j.bbrep.2020.100787
Commun Biol.
巻: 3 ページ: 14
10.1038/s42003-020-01443-w