研究課題
心不全に代表される循環器疾患では 増悪・再入院を繰り返しながら、QOLの低下・死亡に至る特徴的な自然歴をとる。それ故重症化予測並びにリスク層別化は重要である。一方で、複数の心臓以外の因子が生命予後に関連し、さらに改善・悪化を繰り返す臨床経過や突然死の点等から癌等の他の進行性疾患と比較して生命予後の予測は困難とされてきた。人工知能は多因子の変数の相互作用を考慮して重要度を選択する効果に優れ比較的少数例の検討でも従来方法を凌ぐ予測精度を持つリスクモデルの開発が可能である。心不全患者の単施設後ろ向き研究(n=987)のデータを使用し機械学習を行い単施設前向き登録研究のデータ(n=197)を用いて1年以内の生命予後(全死亡もしくは補助人工心臓装着)を予測するリスクモデルを開発した。予測因子として重要な5つのパラメーターを同定した。本モデルでは前向き登録研究での検証でも従来のリスク層別化方法(シアトル心不全モデル)と比較して良好な予測精度が得られた(AUC 0.85 vs. 0.68)。しかし左室駆出率が保持された心不全患者(HFpEF)群ではAUC0.70へ低下するなどの課題が認められた。他施設でのvalidation studyでは予測精度の低下を認め(AUC 0.67-0.69)、施設間での患者背景の差異などが影響する可能性も示唆された。本核磁気共鳴装置T1強調非造影画像法にて検出される高輝度プラーク(HIP)について、従来の信号強度に基づいた2次元評価と新たに開発したプラーク信号強度にプラーク容積を加味した3次元評価を行い、周術期心筋障害(高感度トロポニンTが術後0.07ng/ml以上に上昇した場合と定義)の発生予測能について検証した。3次元的冠動脈高輝度プラーク評価法は経皮的冠動脈形成術後のリスク評価に科学的根拠を与えることが明らかになった。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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