研究課題
本研究の目的は難治性呼吸器疾患動物モデルや患者検体を用いて、活性硫黄分子種(RSS)の呼吸器疾患における役割を明らかにすることである。以下、研究細目ごとの実績について記載する。研究1) RSSのCOPD病態における個体レベルでの検討についてはRSSの産生酵素であるCARS2遺伝子ヘテロ欠損マウスを作成し、種々のCOPDモデルを作成し、検討を行った。野生型マウスと比較して欠損マウスでは、病理組織、CT、肺機能のすべての項目においてエラスターゼによる肺気腫病変の悪化を認めた。また、タバコ煙抽出物を曝露し作成した肺気腫モデルでもCARS2の役割を検討したが、エラスターゼモデルと同様に欠損マウスでは気腫病変の悪化を認めた。病態に関連する酸化・ニトロ化ストレス、炎症性サイトカイン/ケモカイン、蛋白分解酵素の発現が有意に増加した。RSS供与体を用いて検討したところ、エラスターゼによる気腫性変化をRSS供与体は有意に抑制した。研究2) RSSのCOPD病態における細胞レベルでの検討の結果は肺構築細胞のCARS2の発現を抑制し、タバコ抽出液を曝露したところ炎症性サイトカインの産生、酸化ストレスおよび細胞老化が観察された。RSS供与体の投与で上述した炎症性変化が改善した。研究3) 気道におけるRSS産生量と臨床病態との関連に関する研究についてはCOPDコホートを用いた検討は、新型コロナ感染症の影響を受け、気道検体採取が滞っていたが、検体採取を再開している。少数例での検討ではCOPD由来の肺構築細胞ではCARS2の発現が低下し、呼吸機能と関連することが示された。研究4) RSSの間質性肺炎病態における個体レベルでの検討においてはブレオマイシンを用いた肺線維症モデルでは野生型マウスに比較して欠損マウスでは線維化病変の悪化が認められた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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