研究課題/領域番号 |
20H03686
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
田澤 立之 東京医科歯科大学, 学生支援・保健管理機構, 教授 (70301041)
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研究分担者 |
石井 晴之 杏林大学, 医学部, 教授 (30406970)
中田 光 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (80207802)
田中 崇裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70455400)
小松崎 恵子 東京医科歯科大学, 職員健康管理室, 助教 (50867306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肺胞蛋白症 / GM-CSF / 抗GM-CSF抗体 / 喫煙 / 吸入治療 |
研究実績の概要 |
自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)のGM-CSF吸入療法と抗GM-CSF抗体および喫煙の関連を調べ新規治療を開発するため、本研究では、臨床検体での血清マーカー解析と、カニクイザルでのrhGM-CSF吸入モデルでの、Rituximabによる抗体産生抑制実験を行っている。 臨床検体を用いた喫煙と抗体産生に関わる解析:抗GM-CSF抗体検査は,自己免疫性肺胞蛋白症の確定診断として感度・特異度ともに優れた特異的検査であるが、炎症性腸疾患やびまん性肺疾患患者で若干上昇する少数例がこれまで報告されている。抗GM-CSF抗体ELISAキットでサルコイドーシス群と過敏性肺炎群の各30例程度の保存血清の抗GM-CSF抗体を測定したところ、サルコイドーシス群では全例基準値内であったが過敏性肺炎群で抗体価上昇例が若干例みられ、陽性例群では過半数が40 pack year以上の喫煙者で、KL-6や鳥関連抗原に対する抗体価が陰性例群に比べ高値であった。今後aPAP患者のほか過敏性肺炎等のびまん性肺疾患での抗GM-CSF抗体に関連する解析を進めていく。 カニクイザルモデルでの検討:rhGM-CSF経気道的反復慢性投与系を用いて、GM-CSFの気道投与での白血球増加と、反復投与による抗GM-CSF抗体産生と白血球数正常化、およびGM-CSF気道投与とRituximab全身投与の安全な併用を確認した。さらにGM-CSF慢性気道投与を単独で開始すると、2週後にはGM-CSF抗体価の上昇をみるのに対して、Rituximabを先行投与してからGM-CSF慢性気道投与を行うと2週後では抗体は検出できず白血球の増加がみられ4週でようやく抗体が出現し白血球増加が遷延するなど抗体出現抑制がみられた。引き続きGM-CSF経気道投与によるGM-CSF抗体産生の抑制にむけてのRituximab投与や関連因子の解析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体を用いた解析:COVID-19流行下で、新規aPAP患者の検体収集が難しい状況であるが、分担研究者と専門企業の共同開発の抗GM-CSF抗体ELISAキットにより安定した測定を行えており、専門施設で集められた診断確実な患者群の検体の解析で新しい結果が得られている。 動物モデルでの検討:年度ごとに大型動物飼養専門施設の専門的な助言および所属施設の動物実験委員会の指導で実施計画を作成し、審査・承認を受けて、順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)のGM-CSF吸入療法と抗GM-CSF抗体および喫煙者での免疫変容の関連を調べ、新規治療を考えるため、次の2つの解析を進める。。 臨床検体を用いた抗体産生と喫煙に関する解析:引き続きaPAPに加えて過敏性肺炎等のびまん性肺疾患での抗GM-CSF抗体検索および臨床情報(特に喫煙歴・粉塵暴露歴等)の関連を調べ、抗体産生に関連する因子を解析する。 カニクイザルモデルでの検討:引き続きrhGM-CSF気道投与によるGM-CSF抗体産生とその抑制のためのRituximabの投与方法の条件を検討し、血算・血液生化学検査・抗GM-CSF抗体検査・各種血清マーカー・気管支肺胞洗浄液の解析を行い、GM-CSF吸入の薬物動態の数理解析をを加えRituximabによる抑制効果およびこれに関連する因子を解析する。
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