研究課題/領域番号 |
20H03690
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (90197640)
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研究分担者 |
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
平井 豊博 京都大学, 医学研究科, 教授 (20359805)
中山 健夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (70217933)
森田 智視 京都大学, 医学研究科, 教授 (60362480)
田原 康玄 京都大学, 医学研究科, 特定教授 (00268749)
松本 久子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60359809)
若村 智子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40240452)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠時無呼吸 / 睡眠呼吸障害 / 生活習慣病 / 糖尿病 / 高血圧 / 糖尿病家族歴 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルス蔓延のため、コホートでの資料採集はできなかったので、現状までの資料の解析を重点的に行った。「ながはまコホート」約7,500名の参加者に対して、加速度計と酸素飽和度計を用いて睡眠呼吸障害(SDB)の重症度を評価し、肥満(BMI 25 kg/m2以上)がなくても生活習慣病があると中等症以上のSDBとの関連を認めた(調整済みオッズ比は高血圧2.3, 95%CI 1.8-2.8; 糖尿病1.5, 95%CI 1.1-2.1; 脂質異常症1.5, 95%CI 1.2-1.9; メタボリック症候群2.2, 95%CI 1.6-3.0)。生活習慣病に肥満が重なるとさらにその関連度が高くなった。眠気や主観的な睡眠の質の低下はSDBと関連は認められなかった。これまで肥満や眠気などの症状がとりわけSDBとの関連において注目されていたが、肥満がなくても生活習慣病があれば、治療が必要になる可能性が高い中等症以上のSDBに注意する必要があることを示した点は世界的にも初めてのことであり、肥満ばかりでなく、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の管理が中等度以上のSDB発症を抑えるか否かの今後の課題を与え、大いに注目された。 また、糖尿病家族歴(FHD)、SDB、糖代謝異常(糖尿病の有病率、インスリン抵抗性、SDB評価以前の約5年間に新規発症した糖尿病の有病率)の関連を横断的に検討した。 FHDを有する女性において、SDBは2型糖尿病の有病率の増加及びインスリン抵抗性の増大と有意な関連があり、近5年間に新規発症した糖尿病の有病率は中等症以上のSDBで21.4%と高値であった(SDB無し:1.1%, P <0.001)。また、糖尿病の有病率とインスリン抵抗性に対して、SDBとFHDは有意な交互作用が認められた。一方、FHDを有する男性においてSDBと糖代謝異常の関連は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は新型コロナウィルス感染症蔓延のため、「ながはまコホート」での前向きの資料採集が困難であった。当初は、規模を縮小してもコホート事業を継続して行う予定であったが、数度以上の検討会議を行った後、コホートでの前向き資料採取は中止となった。しかしながら、現状までの資料であるが、横断的な研究を継続的に行い、着実にその結果を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度のコホートでの資料採取に向けて、検討会議を行い、本年度はコホート資料採集を行う事が決定している。ただし、コホート事業に協力していただいている長浜市の市職員が新型コロナウィルスワクチン接種の業務に追われているため、コホート事業もその影響を受ける可能性は大きい。しかしながら、コホート資料採取を積極的に行い、来年度までには当初予定通りの資料採取を行う予定である。また、本年度も継続的に横断研究を積極的に行い、さらにゲノムコホートの特徴を生かしたメタボローム解析を積極的に行う予定である。
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