研究課題/領域番号 |
20H03690
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 研究員 (90197640)
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研究分担者 |
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
平井 豊博 京都大学, 医学研究科, 教授 (20359805)
田原 康玄 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (00268749)
森田 智視 京都大学, 医学研究科, 教授 (60362480)
中山 健夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (70217933)
若村 智子 京都大学, 医学研究科, 教授 (40240452)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠呼吸障害 / 睡眠時無呼吸 / 慢性閉塞性肺疾患 / メタボローム / 前向き検討 / 生活習慣病 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
継続的にコホート事業にて、研究目的の前向き資料の収集に努力したが、新型コロナ感染症の蔓延のため、資料収集は大幅に遅延した。しかしながら、横断的に解析の努力は継続した。睡眠呼吸障害(Sleep disordered breathing: SDB)は心血管系をはじめとする多臓器に障害をもたらすことが知られているが、腎障害への影響は未だ明らかでなかった。本論文では、SDB(一般住民コホートですので、ほとんどが閉塞性睡眠時無呼吸と考えられます)が夜間睡眠中の血圧上昇を介して腎障害を引き起こすと仮説をたて、一般人口コホート約5,300人にて検証を行った。方法として、研究参加者にパルスオキシメーター・活動度計(アクチウオッチ)・タイマー機能付き家庭血圧計を貸与し、SDB重症度および早朝・日中・夜間血圧を約1週間測定した。アクチウウォッチからの客観的睡眠時間を使用し、オキシメータによるSDB判定の精度上昇を試みた。腎障害のマーカーとして尿中アルブミン量を測定し、SDB・夜間血圧・尿中アルブミンの3者の関係を解析した。結果、SDBと血圧はそれぞれが独立かつ相乗的に尿中アルブミン量上昇に関連していた。さらに、媒介解析による因果推論を行ったところ、SDBが尿中アルブミンを上昇させるメカニズムとして、日中および夜間血圧の上昇だけでは全てが説明できないことが示された。本研究はSDBが腎障害を引き起こすメカニズムを夜間血圧上昇の観点から、大規模コホートで検証した初めての研究である。腎障害には高血圧が大きく寄与していることが知られているが、血圧管理に加え、SDBの診断・治療が腎障害の予防に役立つ可能性を示唆しており、臨床的に重要な知見と考えられた(Ann Am Thorac Soc. 2022)。自覚的と客観的な睡眠時間に関しての新知見も発表した(J Clin Sleep Med. 2022).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の拡大のため、「ながはま」コホート事業の一部、中止となった。再開後、中断などがあり、コホートでの資料採集が大幅に遅延した。また、コホート事業再開後も感染予防のため、肺機能測定(スパイロ)の中止は継続しており、当初の「肺機能低下と睡眠呼吸障害の横断・縦断的解析と病態生理解明のためのメタボローム解析」の肺機能の縦断的解析の資料の大きな部分が解析困難となったので、横断的解析とメタボローム解析に力を注いだ。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染症の状況が改善すれば、コホート事業の再開と共に、今までコロナ感染症のために遅延していたコホート参加者のリクルートを積極的に行う。また、感染症の予防のため、肺機能測定の再開は困難を伴うと思われるが、現状までの資料にて研究目的達成の努力を行う。また、メタボローム解析の継続を図り、睡眠呼吸障害と生活習慣病の関連を示すメタボロームの発見に努力する。
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