研究課題
私たちは進行期の悪性黒色腫を対象として、Interleukin-12(IL-12)を組み込んだ第三世代がん治療用ウイルスT-hIL12のFirst-in-human試験(1/2相試験)を進めている。本研究では、T-hIL12による腫瘍免疫の変化に焦点を当てて解析し、治験と並行してT-hIL12の作用機序を明らかにする。T-hIL12を投与した腫瘍組織や末梢血からリンパ球等を単離し解析を進めている。腫瘍局所の抗腫瘍活性に関しては、免疫組織学的に解析するとともに、腫瘍浸潤リンパ球の遺伝子発現の解析を進めている。また、全身的な抗腫瘍活性に関しては、末梢血中のサイトカイン量、リンパ球等の表面抗原の発現、T細胞受容体repertoireの多様性、網羅的な遺伝子発現パターンなどの解析を進めている。これまでに第1相の6人と第2相の4人の被験者から複数のタイムポイントの血液を回収した。T-hIL12の投与によって、T細胞受容体のrepertoireの多様性が変化することが明らか等になってきた。また、腫瘍組織も採取し、腫瘍局所での変化を解析中である。T-hIL12の投与によって悪性黒色腫の破壊とともに、腫瘍免疫の誘導が引き起こされていることが想定される結果である。免疫組織学的な解析とともに、single cellでのより詳細な解析の実施も試みている。以上のように、全身のレベルと局所レベルの両方で、抗腫瘍作用の変化の解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
First-in-man試験であるにもかかわらずこれまで大きな障壁はなく進行しており、検体の採取も順調に進んでいる。T-hIL12を直接投与した腫瘍病変は、4人の被験者から得られている。全身的な抗腫瘍活性の解析は、10人の被験者で複数のタイムポイントから採取できている。腫瘍局所の抗腫瘍活性に関しては、免疫組織学的解析とともに、遺伝子解析のために腫瘍浸潤リンパ球の単離を進めている。また、全身的な抗腫瘍活性に関しては、末梢血中のサイトカイン量、リンパ球等の表面抗原の発現の解析を行っている。さらに、T細胞受容体のrepertoire解析も進めている。
解析の対象となる検体の採取は治験の進捗に左右されるが、抗腫瘍活性の解析は腫瘍局所と全身の両方で現在順調に進んでいる。今後は、腫瘍局所に浸潤しているリンパ球や末梢血中の血球がT-hIL12投与によって、どのように変化するのか、治療効果と相関する変化があるか、焦点を当てて解析を進める。
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