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2020 年度 実績報告書

血小板のリンパ組織発生における役割:生理活性物質の運び手としての血小板

研究課題

研究課題/領域番号 20H03709
研究機関山梨大学

研究代表者

井上 克枝  山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10324211)

研究分担者 築地 長治  山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20710362)
平島 正則  新潟大学, 医歯学系, 教授 (40383757)
佐々木 知幸  山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (40739124)
白井 俊光  山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50710381)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード血小板 / CLEC-2 / ポドプラニン / リンパ節 / 異所性リンパ組織 / リンパ管
研究実績の概要

私達は、肺とリンパ管の発生にはリンパ管内皮の膜蛋白ポドプラニン(PDPN)と血小板活性化受容体CLEC-2の結合により活性化された血小板から放出されるTGF-βが必須であることを報告した。CLEC-2 nullマウスでは全身のリンパ節が欠損し、肺、肝臓などにリンパ球の集簇した異所性リンパ組織(ELS)が認められた。以上より私達は「胎生期に生理活性物質を満載した血小板が、CLEC-2を介して様々な細胞のPDPNに触れ、特異的な箇所で活性物質を放出して器官発生が進行する」という全身に共通の血小板による発生制御機構が存在すると考えた。本課題ではリンパ節発生をモデルとし、血小板がいつ、どこで、どのようにしてリンパ節発生を制御するかと、血小板が運ぶ生理活性物質の実態を明らかにする。各種遺伝子欠損マウスや、CLEC-2除去抗体等、独自のリソースと実験技術により、血小板による器官形成の共通原理に迫る。
今年度、CLEC-2下流のシグナル分子であるSyk null マウス、PDPN null マウス、リンパ管特異的 PDPN 欠損マウスには鼠経リンパ節が欠如していることを見出した。以上より、リンパ節の形成には血小板活性化とリンパ管内皮 PDPN が必要であることが示された。ELSの主な構成細胞はB220陽性のBリンパ球であることがわかった。CLEC-2下流のシグナル分子であるPLCgamma2 欠損マウスにはELSが存在したが、GPVI/FcRgamma-chain 欠損マウスには存在しなかった。以上より、リンパ管と血管の分離不全により、血球がリンパ管に流入する状態のとき、リンパ管から漏出してELSが形成されることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度に予定されていた課題のうち、以下を解決できた。(1) CLEC-2/PDPN結合による血小板活性化がリンパ節発生に必要なのか? (2)どの細胞のPDPNがリンパ節発生に必要なのか?(3)ELSの構成細胞は?(4)ELS形成には CLEC-2/PDPN結合による血小板活性化が必要なのか?

今後の研究の推進方策

リンパ節発生に関しては、1)マウスの生体や発生途上で、リンパ節やリンパ管内での血小板の存在を、免疫染色やリンパ液採取により検証する。2) リンパ管のないCcbe1欠損マウスを入手し、リンパ節を確認する。3)リンパ節を形成するLTi細胞とLTi細胞の分離を試み、PDPNの発現をフローサイトメーターで確認する。

異所性リンパ組織に関しては、1) 血小板巨核球特異的CLEC-2欠損マウスを用いて、生後8週まで経時的に肺と肝臓のHE染色を行い、どの時点で異所性リンパ組織が生じるか検討する。2)Ccbe1欠損マウス、Syk null マウス、PDPN nullマウス、リンパ管内皮特異的PDPN欠損マウスの肺や肝臓で、異所性リンパ組織がないか組織学的に検討する。

マウス組織の免疫染色は築地が担当し、リンパ液採取は佐々木が担当する。リンパ節を形成する細胞のフローサイトメーターは白井が担当する。平島は免疫組織染色に関する助言を行う。全体の統括は井上が行う。

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公開日: 2021-12-27  

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