研究課題/領域番号 |
20H03710
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
保仙 直毅 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10456923)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | CAR-T細胞 |
研究実績の概要 |
CD19 CAR-T細胞の成功は、標的抗原がAML細胞以外に正常B細胞には発現していても許容され得ることを示唆している。そこで、本研究において、抗AML細胞株モノクロ―ナル抗体を新たに約4,000クローン作製し、その中からB細胞以外の健常人末梢血には結合しない641クローンを同定した。それらと以前に準備していた437クローンのAML細胞株特異的抗体とを合わせた約1000クローンの抗体を用いて、AML患者由来骨髄検体のフローサイトメトリー解析を行い、複数の検体においてCD34+CD38-AML幹細胞を含むAML細胞に結合する抗体として32クローンを選択した。次に、発現クローニング法、免疫沈降物のLC-MS/MS解析、あるいはCRISPR gRNAライブラリーを用いたランダムノックアウト法によりそれぞれの候補抗体が認識する抗原蛋白質の同定を行った。特に本研究期間中に、CRISPR gRNAライブラリーを用いた抗原同定の系(Cas9を導入した抗原陽性細胞株に、レンチウィルスによりCRISPR gRNAライブラリーを導入し、抗体の結合が低下した細胞に導入されているguide RNA配列をNGSにて解読することにより抗体が認識している抗原を同定する)を確立したことにより、抗原同定のスピードが加速された。その結果、現時点までに、32候補抗体のうち22抗体の抗原蛋白質を同定することに成功した。その他の抗体についても、抗原の同定を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度の計画は、急性骨髄性白血病特異的抗体が認識する候補抗原タンパク質の同定であったので、その目標は十分に達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には、急性骨髄性白血病細胞特異的抗体が認識する抗原の特性の解明を進めていく。同定された抗原タンパク質の正常血液細胞での発現を、既存の抗体がある場合にはフローサイトメトリーによりタンパク質レベルで、ない場合にはRT-PCRによりmRNAレベルで解析する。抗原タンパク質の発現自体は正常血液細胞にも見られ白血病特異的でないが、抗体の結合が白血病特異的である場合、抗体は白血病細胞特異的な翻訳後変化により形成される抗原を認識している可能性が高い。我々は既に多発性骨髄腫を対象とした同様の研究において、そのような性質を持った抗体を複数得ている。本研究でも単離した数多くの急性骨髄性白血病細胞特異的抗体のうち、そのような性質を持つ抗体/抗原に研究対象を絞り研究を進める。抗体の抗原タンパク質への結合が正常細胞では見られないが、白血病細胞では起きる原因を、そのタンパク質の種類に合わせて、構造変化、糖鎖修飾、複合体形成などの観点から解析する。我々は既に今までに行ってきた多発性骨髄腫特異的抗原の探索において、構造生物学および糖鎖の専門家との共同研究体制を構築しており、本研究においても抗原タンパク質の種類に合わせて共同研究を展開していく。
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