研究課題/領域番号 |
20H03716
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
幸谷 愛 東海大学, 医学部, 教授 (00517477)
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研究分担者 |
前田 高宏 九州大学, 医学研究院, 教授 (00791972)
半田 寛 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (90282409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 劇症型NK白血病 / トランスフェリン / システイン |
研究実績の概要 |
劇症型NK細胞白血病(ANKL)は、生存期間中央値2ヶ月未満と極めて予後不良である。本邦の年間発症数は約30と推計される超希少疾患であり、病態解明、治療法開発が大きく制限されている。ほとんどがEBV陽性であり、他のEBV関連腫瘍と同様、アジア地域や一部の中央・南アメリカ地域に限定され,欧米での研究が行われていない。更に、発症年齢がAYA世代と壮年期の二峰性で、中央値は42才という若年層である。以上から新規治療開発は本邦における喫緊の課題である。 癌細胞と微小環境(ニッチ)の細胞間ネットワークを明らかにするためにANKLに対して異種移植モデル(PDX)マウスを5例構築し、従来骨髄と考えられてきたANKLのニッチが、肝臓、それも特殊な血管類洞であることを明らかにした。更にANKLを支持する類洞構成細胞の同定を試み、肝臓星細胞が支持機能を有し、肝臓星細胞が分泌するシステインが責任分子であることを見出した。その作用機序を解明する過程でシステイン代謝酵素グルタチオン代謝酵素γ-グルタミルトランスペプチダーゼ1(GGT1)が新規の作用機序によってシステイン代謝に重要な機能を担うことを明らかにした。 一方、PDXマウスの特徴である、腫瘍細胞はヒト、ニッチ細胞はマウス由来という種差を用いてMixed-species RNA-seqを行い、ニッチと腫瘍との相互作用を全ゲノムを対象としたin silico functional screeningにて網羅解析し、15分子対を同定した。これらに対してin vivo CRISPR screeningを行い、肝臓で産生されるトランスフェリン(Tf)と腫瘍側トランスフェリン受容体(TfR)軸が、抑制による腫瘍増殖阻止効果が最も強力であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
治療標的を同定し、特許も出願済みである。さらに臨床治験を目指したグラントを獲得できており、プロジェクトの開始から、わずか3年での進捗としては、多大に進展していると考えられる。論文化のみ、ハイインパクトのジャーナルからトライしているため若干遅れ気味である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、論文化を進める。現在獲得されたグラントにサポートを受けながら、臨床治験に対する準備を進めるとともに、基礎的なデータも蓄積し希少疾患に対する病態解明、治療標的の同定を推進する。
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