アグレッシブNK白血病(Aggressive NK leukemia: ANKL)は希少疾患、進行が早いため、病態解明が遅れ治療開発が進まず、結果的に平均生存期間中央値が58日という非常に予後が不良な疾患である。 この疾患に対して、Patient derived xenograft (PDX)マウスを作成し、病態解明を試みた。これまでに、6例の作成に成功し、3例については、診断基準を十分に満たした。詳細な解析の結果、従来は白血病と名前がつくことに表れているように腫瘍増殖は骨髄で起こっていると考えられてきたが、肝臓、それも特殊な血管である類洞であることが明らかになった。そこで、肝臓類洞において、腫瘍の増殖を支持する因子を同定することを目的に、異種インターラクトーム解析を行い、肝臓類洞因子としてトランスフェリン、腫瘍側で作用する因子として、トランスフェリン受容体を同定した。CRISPRを用いて、トランスフェリン受容体を欠損したANKL細胞を作成し、PDXマウスを作成したところ、マウス生体内での腫瘍増殖は顕著に抑制された。抗ヒトトランスフェリン受容体抗体を入手し、ANKL PDXマウスに投与すると高い治療効果が認められた。
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