研究課題
本研究の目的は、ペア型免疫受容体LMIR3-8が認識する異物(花粉や微生物など)に含まれる生体外脂質を同定してアレルギー・炎症の新規制御機序を解明することである。これまで、LMIR5がAspergillus属真菌の糸状菌を認識すること、また、Aspergillus fumigatus(死菌)の水溶性分画にLMIR5リガンド分子が存在することを見出した。令和4年度には、Aspergillus niger(死菌)やAspergillus fumigatus(死菌)の水溶性分画を野生型マウス、LMIR5欠損マウス、他の遺伝子改変マウスの気管に投与して、肺組織と肺胞洗浄液を詳細に解析した(組織染色・フローサイトメトリー・ELISA)。その結果、Aspergillus属真菌に含まれる水溶性リガンド分子が主に肺組織のマクロファージ・樹状細胞に発現するLMIR5に作用し、ケモカインの産生を介して好中球浸潤を引き起こすことが示された。さらに、Aspergillus niger(死菌)の水溶液を利用して各種クロマトグラフィーによる分離とLMIR5のレポーターアッセイを繰り返し、LMIR5リガンド分子が濃縮されたフラクションの分離に成功した。現在、質量分析装置でその分子を同定中である。他方、これまでに、ブタクサ花粉の中にLMIR3とLMIR5が共に認識する複数の脂質分子を同定したので、令和4年度には、ブタクサ花粉を野生型マウス、LMIR3欠損マウス、LMIR5欠損マウス、及び他の遺伝子改変マウスの鼻腔・気道に投与して、鼻炎・気道炎症を詳細に解析した(組織染色・フローサイトメトリー・ELISA)。その結果、LMIR3欠損はブタクサ花粉による鼻炎や気道炎症を増悪させることが示された。従って、ブタクサ花粉に含まれる脂質リガンドはLMIR3を介して炎症を制御する可能性が示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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