研究課題
昨年度に引き続き、経時的感染者検体の多角的・高精細研究アプローチによるHTLV病原性発現機序解明研究を遂行した。1.臨床所見、臨床検査データ、治療歴情報2021年度も引き続き佐賀大学医学部附属病院、宮崎大学医学部附属病院の外来にてHTLV-1感染者の外来経過観察および臨床検体採取を行った。2.HAS flow(研究分担者、末岡・梅北が担当)佐賀大学医学部附属病院、宮崎大学医学部附属病院通院のHTLV-1感染者のHTLV-1感染病態把握のために、HAS flow解析を継続して行った。3.抗ウイルス免疫応答(CTL、抗体)の評価 HTLV-1感染のリウマチ患者において、生物学的製剤投与前の結核感染の評価のためのT-spotアッセイを行ったところ、判定不能者が非感染者に比べ顕著に多かった。①感染細胞が自発的にサイトカイン産生を誘導している。②抗ウイルス免疫応答がT-spotアッセイ中に作動して、サイトカインを産生した結果擬陽性が導かれた。等の可能性が考えられる。Tspot判定保留症例に関して、免疫学的解析を進めている。4. 10x Chromium Single cell RNA-seq解析 無症候性感染者とATL患者の末梢血Single cell RNA-seq解析の研究を、論文として発表することが出来た(JCI 20217.Tan B, Sugata K, ..., Ono M* and Satou Y*, HTLV-1 infection promotes excessive T cell activation and transformation into adult T cell leukemia/lymphoma.)。
2: おおむね順調に進展している
臨床検体の情報収集およびサンプル保存が予定通り進んだ。症例のFas flowデータ取得も予定通り進んでいる。HLA-A24陽性感染者のウイルス抗原Taxテトラマーアッセイを確立した。無症候性感染者とATL患者の末梢血Single cell RNA-seq解析の研究を、論文として発表することが出来た(JCI 2021)。
収集した臨床検体について、以下の多角的な解析を進める。①感染細胞の性状解析(HTLV-1 DNA-capture-seqやHAS-flow)②臨床所見、臨床検査データ、治療歴情報③抗ウイルス免疫応答解析④必要と判断される検体について、10x Chromium Single cell RNA-seq解析、TCR-seq解析を行う予定。それらの多角的情報をもとに、HTLV-1感染により引き起こされる異なる臨床病態(無症候性、リンパ腫白血病、慢性炎症)を説明する重要因子の探索を進める。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
The Journal of Infectious Diseases
巻: 225 ページ: 317-326
10.1093/infdis/jiab202.
The Journal of Clinical Investigation
巻: 131 ページ: e150472
10.1172/JCI150472
https://kumamoto-u-jrchri.jp/satou/