研究課題
本研究は、早期乳癌患者の血漿検体を用いて、網羅的に代謝物と蛋白質の状態を調べるメタボローム解析とプロテオーム解析を行い、日本人乳癌患者において特異的に変化する代謝物とタンパク質を検索し、乳癌の発症予防および早期発見につながるバイオマーカーの探索を行うことを目的とする。「東北大学病院個別化医療センターバイオバンク部門(倫理委員会承認:2017-1-346)」に参加し、2018年12月以降に血漿検体が保存されている乳癌患者を対象とした。両側乳癌、特殊型乳癌、重複癌などを除き、616症例の早期乳癌を抽出した。早期乳癌患者の血漿検体から代謝物を抽出し、最大630の代謝物を解析可能なMxP Quant 500キットと高感度装置を用いて質量分析法により代謝物を同定・定量するメタボローム解析を行った。さらに、メタボローム解析にて大きく変動している検体について、血漿検体からタンパク質を抽出しペプチドに分解した後に質量分析装置で分析し、各種タンパク質やその修飾状態を同定するプロテオーム解析を試みた。症例群において、東北大学病院の電子カルテより年齢、病歴、画像所見、病理所見、服薬情報を抽出し、乳癌の組織型および進行度、服薬情報を考慮に入れた解析を行うとともに、東北メディカル・メガバンク計画のコホート調査参加者のうちMxP Quant 500キットと高感度装置を用いてメタボローム解析を行った対象者をコントロール群として、症例群において特異的に変化している代謝物の検討を行った。その結果については今後論文として発表する予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。