研究課題/領域番号 |
20H03742
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古山 賢一郎 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点講師 (10868798)
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研究分担者 |
川口 義弥 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (60359792)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 膵島再生 / ダイレクトリプログラミング / 分化転換 |
研究実績の概要 |
新規糖尿病治療法として、本研究では膵島内でのインスリン陽性β細胞再生を目指す。その治療戦略は、膵島内の隣接する非β細胞からβ細胞へとダイレクトリプログラミング(分化転換)を誘導するというユニークなアプローチである。戦略の長所は、膵島内での分化転換により新規β細胞は元来の膵島の細胞環境で機能を発揮しやすいという解剖学的特徴にある。つまり必要な細胞を周囲の細胞から分化誘導するため、作製した細胞を移植する必要もない次世代型治療法と言える。 本研究の前半の目標は、分化転換機構の解明と、分化転換の改善を質と量の両面で目指すことであった。当初の計画では、これまで我々が確立してきた脳死ドナー膵島サンプルを使った実験系にて、研究を進める予定であったが、コロナパンデミックの状況下で、サンプル入手の問題に直面し、計画の遅れが生じている。今後も長期化する現状を鑑みて、海外の共同研究先と連携することで、実行可能な実験から分担して研究を進めている。まずは計画書通り、分化転換機構を制御する責任経路の解明から着手している。 またヒトサンプルの代わりにマウス膵島細胞を用いた研究を並行して行なっている。ヒト細胞と同様の実験系を既に確立した。 今年度もコロナ下で研究活動の制限が心配されるが、上記に述べたようにアフターコロナに合わせて修正した方針にのっとり、まずは分化転換機構の解明を進め、遅れを取り戻せるように一歩一歩着実に研究を進めてゆきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、2020年度に分化転換機構の解明と分化転換の改善を目指した実験を予定していた。しかしながらコロナの状況下で、大幅な遅れが生じている。コロナ下の人的活動の制限により、研究全体がスローダウンしただけでなく、実験マテリアルの調達が困難であった。つまり計画していた実験には主に脳死ドナー由来の膵島サンプルを用いて解析を進める予定であったが、サンプル供給元の米国ではコロナ下の影響で脳死ドナーからの膵島分離が停止され、ヒトサンプルの入手が極めて困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ前に立案された本研究計画を、コロナ下の状況でも推進・到達可能なものに、修正する必要があると考えられる。 実験サンプルに関しては、北米でのワクチン接種が始まっているとはいえ、パンデミックの収束が未だ見られず、先日(2021年4月13日)よりアルバータの膵島分離センターから脳死ドナー膵島の供給が再び停止されてしまった。 この長期化する現状を鑑みて、共同研究先と実行可能な実験から、分担しながら研究を進めてゆきたい。 具体的にはヒト膵島を使った分化転換機構の解明と改善については、現在もヒトサンプルが入手できている欧州の共同研究先との連携で進めてゆきたい。計画通り、分化転換機構を制御する責任経路を明らかにしたい。 また、サンプル供給が不安定な現状況下では、ヒト膵島を使った大規模な実験が組みにくいため、ヒトprimaryサンプルの代わりにマウス膵α細胞株やマウス膵島を使って実験を進めてゆきたい。まずはマウス膵α細胞株αTC1.6を用いてノックインレポーターラインの作製から始める。
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