研究課題/領域番号 |
20H03745
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
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研究分担者 |
小林 英司 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任教授 (00245044)
絵野沢 伸 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 先端医療開発室, 研究員 (40232962)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ヒトiTP細胞 / in vivo bioreactor / ブタ / 脾内移植 / 膵島 |
研究実績の概要 |
膵組織特異的幹/前駆細胞や人工組織特異的幹/前駆細胞(induced tissue-specific/progenitor stem (iTS/iTP) cells)のインスリン分泌細胞への分化誘導効率はES/iPS細胞よりも高いが、いまだ細胞の成熟化はin vitro単独では困難な状況にある。この問題を解決するために、本研究ではブタをin vivo bioreactorとして使用し、細胞の成熟化を図る。令和2年度は以下の実験を行った。 iTS/iTP細胞の大量培養:ヒトiTS/iTP細胞をブタ脾内へ移植するのに必要な量まで培養を行った。1つの膵島の細胞数は約1,000個であるが、臨床膵島移植の場合、20万個の膵島の生着が必要だとされている。令和2年度は、1,000×20万個=20億個(2x10^9個)の細胞を培養した。 iTS/iTP細胞のin vitroでの分化誘導:大量培養を行ったヒトiTS/iTP細胞のin vitroでの分化誘導を行った。 分化誘導細胞のブタ脾内移植:分化誘導を行ったヒトiTS/iTP細胞をブタ脾臓内へ移植した。令和2年度は手術や薬剤の影響や糖毒性の影響を除外するため、非糖尿病化ブタを用いた。移植を行ったブタへ免疫抑制剤を投与するなどの管理・維持を行いつつ、定期的に採血を行い、血中のC-peptide量などの測定を行った。移植1ヶ月後に移植脾を取り出し、インスリン染色などの免疫染色を行った。移植細胞と思われる組織を少量認めたが、インスリン染色で陽性細胞はほとんど認められず、分化誘導が不十分であると考えられた。 令和2年度は計画通り1例の大動物実験を実施した。令和2年度の結果をもとに、移植細胞数の増量およびin vitroでの分化誘導法の改変などを令和3年度では行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度は計画通り、1. iTS/iTP細胞の大量培養、2. iTS/iTP細胞のin vitroでの分化誘導、3.分化誘導細胞のブタ脾内移植(1例)の実施を行った。1. 2.に関しては予定通りの結果となった。3.に関しては、移植細胞と思われる組織を少量認め、免疫抑制効果があったと考えられたが、その生着量は十分ではないため、改善する必要があると思われた。また、インスリン染色で陽性細胞はほとんど認められず、分化誘導が不十分であると考えられた。in vitroでの分化誘導の改変が必要であると考えられた。 以上のように、1. 2.に関しては予想通りの結果となり、3.に関しても改善点が明らかとなり、有益な情報が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は計画通り1例の大動物実験を実施したが、一部改善すべき点が明らかとなった。令和3年度は、移植細胞数の増量およびin vitroでの分化誘導法の改変などを行う予定である。
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