研究課題/領域番号 |
20H03753
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 隆生 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20372766)
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研究分担者 |
山口 浩 東京医科大学, 医学部, 兼任准教授 (20510697)
三森 功士 九州大学, 大学病院, 教授 (50322748)
蔵原 弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (70464469)
又木 雄弘 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任講師 (10444902)
井手野 昇 九州大学, 医学研究院, 助教 (90883421)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵癌 / IPMN / クローン進化 / ゲノム / 予防 |
研究実績の概要 |
多発膵癌患者の切除検体を用いて膵癌初回切除時の主病巣の周辺のPanINの密度が高いほど、残膵癌が発生しやすいことを報告しており、クローン拡大の解析に適していると考えていることから、IPMNの切除検体新鮮標本からDNAを抽出し全ゲノム解析を行い、これまで知られていたKRAS、GNAS、TP53、SMAD4以外の新たなドライバー変異を同定した。また、クローン進化の一旦を解明することができた。また新規癒合異常タンパクの存在が示唆される所見も得られ、KRAS/GNASなどの代表的ドライバー遺伝子変異が存在しない場合のIPMNの発生機序に関して、補完的変異の一端を明らかにすることができた。現在、新規ドライバー遺伝子の機能解析を行い、IPMNの悪性化と関連のある機能獲得が得られるかを検証している。また併せてRNAシークエンスの解析も進めている。一方、IPMN併存膵癌の発生に関わる遺伝子変異の同定には至っておらず、さらに解析を進めていく予定である。 十二指腸液を用いた膵全摘出候補の選定に必要な分子マーカー探索については現在新たな体制づくりが完了しているため、2021年度中にサンプル収集を開始できる予定である。標的マーカーについては先述の新規遺伝子変異と、それにより誘導されるタンパクを検索する予定である。併せて切除標本と対比しながら絞っていく予定である。また予防的膵全摘術が必要な際の新規技術として低侵襲なロボット支援膵切除術を導入する予定であり、これまで必要なトレーニングと資格をすべて取得し、2021年度中に実際の手術を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ゲノム解析が終了し、膵癌早期診断法確立へ向けた十二指腸液研究の体制作りの準備も整いつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
全ゲノム解析の結果をもとに特定の遺伝子変異結果のvalidationを、サンプル数を増やして行う。またゲノム解析では同定できない異常をRNAないしプロテオミクス解析を通して同定していく。さらにこれらの結果を十二指腸液によるマーカー選定に役立てる予定である。
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