研究課題/領域番号 |
20H03755
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
馬場 祥史 熊本大学, 病院, 特任准教授 (20599708)
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研究分担者 |
馬場 秀夫 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (20240905)
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
諸石 寿朗 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30647722)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / 食道癌 / 腫瘍免疫 / Fusobacterium nucleatum |
研究実績の概要 |
実際に食道癌組織中にFusobacterium nucleatumが存在することをfluorescence in situ hybridization(FISH)で確認した。さらに、Fusobacterium nucleatumと腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte; TILs)の関係を検証した。すると、Fusobacterium nucleatum陽性症例ではTILsが有意に少ないことが明らかになり、Fusobacterium nucleatumが腫瘍免疫抑制に寄与している可能性が示唆された。この結果は、現在論文化し投稿中である。 Fusobacterium nucleatumと癌細胞株の共培養を行ったところ、NFKB pathway, NOD pathwayが活性化し、癌細胞の悪性度の獲得に繋がることが明らかになった。In vivoでの検証も行い、Cancer letters誌にアクセプトされた。現在は、このpathwayを介した腫瘍免疫との関連を明らかにすべく検証を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
500例以上の食道癌データバンク・Multiplex immunofluorescence・メタボローム解析を用いて、腸内細菌Fusobacterium nucleatumと腫瘍免疫動態、代謝環境の関連を網羅的に解析し、革新的なbiomarkerを開発することが本研究の目的である。まず、実際に食道癌組織中にFusobacterium nucleatumが存在することをfluorescence in situ hybridization(FISH)で確認した。さらに、Fusobacterium nucleatumと腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte; TILs)の関係を検証した。すると、Fusobacterium nucleatum陽性症例ではTILsが有意に少ないことが明らかになり、Fusobacterium nucleatumが腫瘍免疫抑制に寄与している可能性が示唆された。この結果は、現在論文化し投稿中である。以上より、「おおむね順調に進展している」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Fusobacterium nucleatumと癌細胞株の共培養を行ったところ、NFKB pathway, NOD pathwayが活性化しているという興味深い結果がすでに得られており、腫瘍免疫との関連を明らかにすべく検証を行っている。また、現在、Syngeneic mouse modelでの検証を進めるために予備実験を進めている。Syngeneic mouse modelにマウス扁平上皮癌細胞株をF. nucleatumと共に皮下投与する。腫瘍形成能を評価する共に、腫瘍内の免疫細胞動態を網羅的に解析する。さらに、Syngeneic mouse modelに効果のある抗生剤を投与することより、抗腫瘍効果があるか否かの検証も行う。また、F. nucleatumの培養上清を食道癌細胞株に添加する実験系も同時に施行する。コントロールmicrobiomeとしては、Streptococcus mutansやStreptococcus salivariusを用いる予定である。これらの実験に関しては、共同研究者の澤教授、諸石教授と適宜discussionを行っているが、今後も定期的に研究の方向性・詳細については話し合いながら行っていく。
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