研究課題/領域番号 |
20H03765
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
戸田 宏一 大阪大学, 医学系研究科, 特任教授(常勤) (40379235)
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研究分担者 |
塚田 敬義 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30257894)
福嶌 教偉 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (30263247)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 心停止ドナー / 心臓移植 / 虚血再灌流障害 |
研究実績の概要 |
豚(ZPPα)の脳死モデルを作成し、人工呼吸器を停止し心停止を惹起する。大腿動静脈に留置していたシースからECMOの送血管・脱血管を挿入し、ECMOでの全身灌流を開始した。2020年度と異なり、2021年度は高カリウム・低温の灌流液を用いることにより、心停止状態を維持すると同時に心筋保護を試みた。ECMOでの全身灌流を開始すると同時に胸骨正中切開し心臓に到達した。実際に心臓移植を行うことは予算上困難であったため、心臓移植の模擬モデルとして、開胸後に上行大動脈をクランプし大動脈基部からcardioplegiaを注入、その間に全身灌流液のK値を下げて復温し、心臓以外の臓器を灌流した。その後、上行大動脈のクランプを解除し、ECMOで常温全身灌流を続けることで心臓移植後の状況を模した。 予算上、3頭での検討であったが、3頭中2頭で自己心拍の再開が確認できた。2020年度の実験では温阻血時間が30分を超えると、再灌流によっても自己心拍が再開しなかったが、今回、灌流液を工夫することで心停止から心臓の再灌流再開までの時間はおよそ1時間に延長することができた。 灌流液の組成や全身灌流中の心腔内の減圧方法を検討することで、より良好な自己心拍再開を得られる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家畜豚やECMOの回路など、高額な必要物品が多く、当初の想定よりも実験回数が少なくなっている。
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今後の研究の推進方策 |
豚脳死モデルおよび、呼吸停止による心停止モデルの作製は確立できたため、全身灌流液の組成や灌流中の心腔内の減圧方法を検討することで、大動脈クランプ解除後に心臓が再灌流された際、より良好に自己心拍再開を得られる手法を確立する。
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